2017 051234567891011121314151617181920212223242526272829302017 07

読書芸人

木曜の夜、夜更かししてテレビを見ていたら、「アメトーーク!」という番組が始まった。

いつもは見ない番組なんだけど、テーマが「読書芸人」というので、興味を引かれて見ていたら、面白くて結局最後まで見てしまった。

読書好き芸人として登場するのは、オアシズ光浦、オードリー若林、ピース又吉、スピードワゴン小沢、笑い飯・哲夫、烏龍パーク橋本、エリートヤンキー橘。

光浦と若林と又吉と小沢くらいしか知らんな。

それぞれの芸人の好きな作家や家の書棚拝見とか、読書あるある! とか、読書好きにはたまらんです。

好きなのが太宰治とか芥川龍之介とか寺山修司とか、人選が渋い。
太宰や芥川なんて、教科書でしか読んだことないぞ(;´∀`)

その他の好きな作家も、いわゆる売れセンじゃなく、知らない人ばっかり(まあ、私は読書家と呼べるレベルではないので。読書家から見たらどういう布陣かわかるのかもしれん)。

東野圭吾とかのメジャーな本は恥ずかしいので、地味な本の下に隠してレジに持ってくとか、映画化される原作は映画化より先に読みたい、出遅れたら、帯に「映画化」って書いてあるのが取れるまで待つとか、これは私は気にしないんだけども、ふーん、そんなものかなと面白かった。

又吉の本屋巡りはすごかった。

まず、でっかい本屋に行き(都会はいいなあ。あんなの福井にはLOFTの紀伊國屋書店しかない。駐車場有料だし気軽に行けん)、文芸誌のコーナーへ。

あれこれウンチクを垂れる又吉。
レアな対談が載ってるから、これは買いですと言って、その中の1冊を選ぶ。

次に文芸書コーナーへ行き、「あ」から見ていって、好きな作家でまだ読んでないのを選んでいた。

「アメトーーク!」でご一緒する若林の好きな藤沢周(だったかな)、の本をお近づきの印にと購入することに。

会計のときに、3万4千円くらいになり、「3万しかないわ」と、若林への本を買わずに返すというオチがあったけども(笑)

その後、神保町の古本屋へ。

サイン入りの本もある。個人名が入った本は、どういうつもりで売ったのかな~という話が出て、見てて苦笑。
実は私も売ったことがある。作家じゃなくて講演を聴いた人の本だった。ときめかなくなって(笑)売っちゃった。

又吉はいろいろ見て数点買い、最後に鍵つきガラスケースを開けてもらって、ボードレールの『悪の華』の初版本25000円ナリを買う。

若林は何かの本の帯にコメント書いたらしいし、又吉も解説書いたりエッセイ書いたりしてんのね。みんなすごいわ。

笑い飯の哲夫は寝床で本を読むんだけど、寝転んで上向いて読んでると、そのうち腕がだるくなるのでうつ伏せになる。
そうするとまた腕がだるくなるので仰向けに…を繰り返しているうち、集中して仰向けで3時間くらい読み続けて、翌日腕がパンパンになったとか。

若林は収録の前に気分が落ち込む本を読むと、本番でテンション上がらないので、直前に「ワンピース」を読んで中和するんだと言ってた。

そういうエピソードを聞いてると共感して嬉しくなってしまう。

若林の言ってた、「全ての娯楽のなかで本が一番好き。いろいろ自分で想像して楽しめるから」という言葉が、読書の醍醐味と全ての読書好きな人の思いを代弁してると思った。

私は本とか新聞とか読まない人ってどうよと思ってるので、彼らに対する認識が改まった。
特に又吉。すごい。憧れる。尊敬する。

私が読書家だったのは昔のこと。今は年に10冊ほどしか読んでまへん(´・ω・`)
あかんやないか。偉そうに言えんやないか。

ダンナがテレビ大好き人間でねえ~、テレビがついてると集中できんのよ。
というのは言い訳。

よくある読書調査で、読んでない理由として「忙しいから」なんてのがあるが、あれも言い訳だよ。
本当に本が好きなら、どんなコマ切れの時間を見つけてでも読むもんだもの。

本が好きな者にとって、読書は中毒症状と一緒。
タバコ吸う人がタバコを我慢できないように、パチンコ好きな人がやめられないように、面白い本を読んでると頭の中にドーパミンがどばどば出てくるもんだから、本なしじゃいられなくなる。

今年はちょっとペースが早めで、『おまえさん』『壬生義士伝』『歪笑小説』と読んで、今は『プラハの春』を読んでいる。

ダンナがイヤホンつけてテレビを見てくれたらいいんだが(´д`)
[ 2012/02/04 ] 倉庫5 | TB(-) | CM(0)

プロ作家の手仕事

先日、上橋菜穂子の『獣の奏者』を読み終えた。エリンとイアルの同棲時代~ジェシ出産までの話はよかった。期待してたより甘さ控えめだけど。それだけ彼らの境遇は私が思ってたよりハードなものなんだな。そうだよな。国家に監視されて生きてるんだもんな。

次期国王の婿になる男を殺したイアルが、何か政治的な意図があったと警戒されることまでは想像しなかったな。そんな彼が究極の兵器である王獣をただひとり操れるエリンと結ばれたら…そりゃ、いろいろ勘繰るやつはいるだろうな。私もまだまだ読みが浅いわい。

エサル師の若き日の恋愛物語は読んでてなんだか居心地が悪かった。身内の恋愛話を聞かされているようで。
でも、リョザ神王国における王獣と獣ノ医術師たちの関わりをエリンを主人公にした本編とは別の角度から見ることができて、その点ではこの物語全体に厚みを加えてていいなと思った。


宮部みゆきの『あんじゅう』も読破。言葉が美しく、リズミカルで読んでいて心地よい。宮部みゆきは書き下ろしだと描写が冗長になりやすいが、こうした連載物、特に時代小説は無駄な言葉がなくて、声に出して読みたくなるくらい。

叔父夫婦の営む三島屋という袋物屋で女中として働く17歳のおちかが、叔父の名代として客から不思議話を聞く話。「逃げ水」「薮から千本」「暗獣」「吼える仏」の4話が入っている。

表題作の「暗獣」がたぶん一番人気があるんだろう。確かにもの悲しくて、ほのぼのした人情もので、私もこの話は好き。

でも、四つの話の中で一番印象に残るのは最後の「吼える仏」。話としては救いのない、人間の醜さや酷さが表れた話なんだけど、それだけに心に残る。

気に喰わないやつを村の掟という正当な名目のもと、仕置きをする。他人の生殺与奪の権利を手にした人間は、数を頼むことでだんだんとその行動をエスカレートさせてゆく。人間の心情をよくわかってるよなあと思う。

読み終えた今は読売新聞に連載してた頃の切り抜きと単行本を並べて、加筆修正部分をチェックし、赤ペンで切り抜きに修正箇所を書き込みながら改めて読み比べている(ヒマやな(笑))。

ほとんど修正点はなくて、せいぜいひらがなを漢字に直す程度だが、しょっぱなの「逃げ水」でお旱さんの設定にちょっと修正が入っているのを発見。

これは全部チェックし終えたら報告します。
[ 2010/10/16 ] 倉庫5 | TB(-) | CM(0)

東野圭吾『プラチナデータ』 感想


文中に出てくる携帯電話に「携帯」の文字がないことに気づいた。殺された被害者のバッグの中から財布と電話がなくなっている、とある。

そうか、もういちいち断らなくても、電話と言えば携帯電話なんだな。結局、「携帯電話」の言葉が出てくるのは、公衆電話との区別をつける1箇所のみだった。

犯罪者が残した毛髪や体液などからDNAを抽出し、あらかじめ登録してあるデータと照合して、犯人の詳細な体の特徴を割り出し、本人そっくりのモンタージュ写真を作り出す。

ほぼ100%に近いその解析結果により、犯罪者の検挙率は大幅にアップする。
そのため、政府は国民すべてにDNAデータの登録を呼びかける。

街なかのあらゆるところに監視カメラが設置されていたり、ヘビースモーカーの刑事は決められたわずかな喫煙可の場所でタールが何%以下という厳しい基準のタバコを吸ってたりと、近未来の管理社会が物語の舞台になっている(ああそうか、だから携帯電話もただの「電話」と呼ぶ時代になったってことなんだな)。

が、なぜかその管理社会の不気味さというのがあまり胸に迫ってこなかった。

ちょっと軽くネタバレしますんで、続きはクリックしてね。
[ 2010/07/06 ] 倉庫5 | TB(0) | CM(0)

誉田哲也『武士道シックスティーン』 簡単な感想


本屋をぶらぶらしていたら、この本が目に留まった。誉田哲也の『武士道シックスティーン』。
そういや映画化されたんだっけ。
手にとって冒頭を少し読んでみる。テンポがあって読みやすい。剣道のカルトな知識(一般人にとって)が出てきて面白そう。

で、図書館で借りてみた(←しっかり者と呼んでくれ)。

主人公は二人。宮本武蔵の『五輪の書』を愛読する、勝つことしか頭にないサムライ少女の香織、そしてもう一人は日本舞踊から剣道に転向したという、勝ち負けにこだわらない(こだわりたくない)早苗。
この二人の視点で交互に語られてゆく。

全体的に浅いなという感が否めない。香織が剣道をする意味を見失うきっかけも、説明はされているけどピンとこないし、お互いの家族のことももうちょっと掘り下げて欲しかったような。

いやこれは高1の少女の一人称で描いているからしょうがないのかな。
大人が読むには少し物足りない。ジュブナイルとしてはいいのかも。

でも、ラストはとても清々しくて爽やか。心地よい終わり方だった。

巻末の著者プロフィールを見たら、この作者にしては珍しく人が一人も死なない話だと書かれてあったのでびっくり(^^;) そういう作風の人だったのね。

***

ちょこっとつれづれ。

こないだ、息子が夜帰宅するなり、「お母さ~ん!」
なんだろうと玄関へ行ってみると、息子の足元に1匹の蛍が。ドアを開けた拍子に一緒に入って来たらしい。
(とっさに「お母さん」と叫ぶとは。こういうときにマザコンがバレるのだ息子よ)。

弱って死にかけている。そっとメモ用紙の上に乗せて庭の奥の柿の木と雪柳の間の地面へ。裏の川べりに戻ってくれればいいけど。ダメだろうな。明日には死んじゃうだろうな。

ドラマやCMなんかで蛍の飛ぶシーンをCGで作ってるのがあるけど、あれは本物とてんで違う。本当の蛍はもっと頼りなく、はかなげにフワーッと飛ぶんだよ。触ると手がすごく臭くなるんだよ。蛍の匂いは他のどんな虫とも違う。

そういうのを今の子供たちに体験させてあげたいなあ。
と言っても捕って持ち帰ってほしくはないけど。あれは愛でるもんだから。

蛍の光の点滅時間は西が2秒、東は4秒なんだけど、最近、西の蛍が北上しているという報告があるらしい。2秒点滅の蛍が関東で見つかってるというのね。

なんでかというと、蛍を放すイベントとかがあちこちで行われているけど、そのときに西の業者が繁殖させた蛍を東に送っているのが原因じゃないかと言われている。こういうのも生態系を狂わせることになるんじゃないのかな。
[ 2010/07/03 ] 倉庫5 | TB(0) | CM(0)

宮部みゆき『小暮写眞館』 感想



今年は国民読書年(全然浸透してないが)なので、たくさん本を読もう! と正月に誓ったのに、1年の半分が過ぎた今、13冊しか読んでいない(漫画はいっぱい読んでるが)。言うまでもなくネットのしすぎ。どうでもいいページをダラダラ読んでるだけで、あっという間に2時間や3時間はすぐ経つもんなあ。

こんなことではいかん。どげんかせんといかん。←こればっか

まあそんなわけで、ネットの合間に宮部みゆきの『小暮写眞館』を読みましたですよ。
1995円もするので、図書館で借りようかとチラと思ったけど、「あなたは思い出す。どれだけ小説を求めていたか」なんて帯のアオリに書いてあったら、乗せられ上手な私としてはもう買うしかない! ですよ。

主人公は高1の男の子、花菱英一。彼の両親はちょいと酔狂なところがあって、築33年のボロ写真館を買い、少し手直ししただけで看板もそのままに住み始める。おかげで写真館がまだ営業していると誤解され、“心霊写真”が持ち込まれたりして、英一はその謎の解明に乗り出すはめになる。

英一には小3の弟のピカことヒカルがいるが、彼らの間には4歳でインフルエンザ脳症で亡くなった風子というきょうだいがいた。この風子の死が英一とピカ、母、父、それぞれの心に影を落としており、普段はそんなことはほとんど感じさせない明るい一家なのだが、後半になってそれが一気に表面に出てくる。

心霊写真や幽霊といった題材が出てくるが、そこは宮部みゆき、通りいっぺんのオカルト話ではない。袖すり合って縁ができた人々との温かな心の触れ合いが描かれている。

読んでいる最中も読み終えたあとも、感じたのは宮部みゆきの腕の見事さだった。職人技というより、もはや匠の技である。うまいのだ。いや、むしろうますぎてかえってそれが鼻につくところもあるほどに。

丹念に丹念に描写を積み重ね、丁寧に丁寧に伏線を積み重ねていっている。伏線無視、人間の深い心の襞(ひだ)無視のご都合主義な小説やドラマが多い中、この丁寧さは得がたい。

たとえば、英一が最初の“心霊写真”の謎を解く鍵を握る女性と会った時、その女性は初対面の高1の男の子に自分の結婚生活とその破綻について語る。

普通ならあり得ないと思うだろう。そんな初めて会った、しかも子供に、自分の身の上話をペラペラしゃべる人間がおるかと、ヘタな作家の描く話ならそんな違和感を覚えてしまうだろう。

だけど、タクシーの運転手の背中に向かって話すみたいに、行きずりの知らない人に、いや、知らない人だからこそ、自分の抱えているものを打ち明けてしまいたくなる時があるというようなことをこの女性は語るわけですよ。

それがとても説得力があるので、彼女が英一に込み入ったプライベートな話をしても、自然な成り行きに感じる。そういう手腕がすごいなと思う。

宮部みゆきの書く作品に出てくる主人公の多くは、躾の行き届いた家庭に育った、一本筋の通ったきれいな魂を持った人物で、そういう人物像をわざわざ作ったというより、書き手の精神性が自然とにじみ出ているような感じがして、彼女は昔の日本人が受けてきたような、きちんとした躾を受けてきた人なんだろうなとずっと思っていた。

その思いは今も変わらないけど、今回の作品では主人公の英一がはっきりと、自分やコゲパン(英一の友達の女の子)の家庭は躾がきちんとしていると自覚するくだりがあり、意図的にそういう人物を描いているところもあるのかな、精神的に荒んできた今の日本人へのアンチテーゼか? などと、うがった読み方をしてしまったよ。

ラスト近くの一文を読んでから、カバー写真を見ると感無量。作者と出版社の合わせ技といったところ。
[ 2010/06/19 ] 倉庫5 | TB(0) | CM(0)