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ジャッジが語るPCS (2)

Jスポーツ4 フィギュアスケートラボ#2より自分用メモ その2。

★★★5コンポーネンツ(PCS)の研究★★★

総得点は技術点+演技構成点(5コンポーネンツ)-減点(転倒、音楽違反などがあれば)で出される。たとえ技術点が伸びなくても、演技構成点で高い評価を受ければ挽回も可能。


【スケーティングスキルの特性】

評価項目


・バランス、リズミカルな膝の動き、足運びの正確さ

・流れと無駄な力のない楽な滑り

・深いエッジ、ステップおよびターンの正確さと確実さ

・力強さと加減速

・あらゆる方向へのスケーティングの熟達

・片足でのスケーティングの熟達


評価項目の到達度と点数の関係( )内は点数
--------------
傑出(10)
   (9)
--------------
非常に良い(8)  →約75%
良い(7)     →約75%
--------------
普通より良い(6)
--------------
普通(5)→約50%
--------------
まあまあ(4)
--------------
弱い(3)     →約25%
劣る(2)     →約25%
--------------
非常に劣る(1)
--------------
極めて劣る(1未満)
--------------

スケーティングスキルとは、スケート自体の技術がどれくらいあったかを見ていく。

(例:パトリック・チャンの場合)



非常にスケーティングスキルの高い選手とされている。正確で難しいターン、止まっているところからトップスピードに行くまでの加速の速さ。
ジャンプも素晴らしいがエレメンツではなくスケートそのものの技術を見ている。
スムーズに無駄な力がまったく入らないで滑っている。

転倒があったが、速やかに立ち上がって次のスケーティングに入ってゆく。

ステップシークエンスの中でもスケーティングスキルが出来ていないと正確なターン等ができない。
ステップシークエンスはGOEで評価されるが、スケーティングスキルの評価にも関わってくる。


チャンのSS 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
9.00 9.00 9.00 9.25 9.50 9.00 9.25 9.25 8.75 → 9.11


(例:24位のユストゥス・ストリード(デンマーク)の場合)

※2013worldの動画が見つからないので、その約2か月前の2013年1月26日、欧州選手権の動画を参考までに挙げる。
 ジャンプやスピンの構成も違うのであくまで参考で。2013年 欧州選手権のプロトコル(PDF注意)



演技開始の望遠鏡を覗くような動き→スケーティングスキルではなく上半身の動き

両手を挙げたツイズル→カクカクしていた

ジャンプ前→硬い動き

膝の柔らかさ、ディープエッジに乗っているかどうかを見ていくと、ランひとつとってもぎこちない。
スリー・ターンばかりで技術の高いものが入っていない。

直線的に滑っている(エッジに乗っているとカーブになるはず)。あらゆる方向に進んでいけるのが高い技術を持っていると言える。

全身のバランスも少しぎこちない。

止まって両手でネクタイを直す仕草→このように止まっているところが少し多すぎる。

ストリードのSS 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
5.25 5.75 5.00 5.25 5.75 5.75 5.25 5.50 5.25 → 5.43



【トランジションの特性】

ジャンプ、スピン、ステップといった要素と要素の間につなぎの要素がどれくらい入っているかすべてのムーブメントを見る。単純に滑っているだけでは点数は伸びない。

すべてのムーブメントの中にはターン、ステップ、スケーティングムーブメント(イーグル、イナバウアー、リストにないジャンプ)、ボディムーブメント(体をどのように動かしているのか)が入っている。

評価項目

・多様さ

・難しさ

・複雑さ

・質

評価項目の到達度と点数の関係( )内は点数
--------------
傑出(10)
   (9)
--------------
非常に良い(8)  →約75%
良い(7)     →約75%
--------------
普通より良い(6)
--------------
普通(5)→約50%
--------------
まあまあ(4)
--------------
弱い(3)     →約25%
劣る(2)     →約25%
--------------
非常に劣る(1)
--------------
極めて劣る(1未満)
--------------

(例:パトリック・チャンの場合)

開始早々すでにボディムーブメントがある。ちょっとホップしてロッカーターン、スリーターンを2回、後方ボディムーブメント(後ろに足を上げる)、モホーク、スリーターンから一つ目の要素4T-3T。

一番注目してほしいのは一つ一つの質が素晴らしいこと

チャンのTransition/Linking Footwork 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
9.25 8.75 8.75 9.00 9.75 9.00 9.00 9.00 8.50 → 8.96

一つの要素からもう一つの要素へつながっていってるかどうかを見ている。


(例:24位のユストゥス・ストリード(デンマーク)の場合)

演技が止まっている状態から始まっている。
ツイズルもカクカクして質に問題がある。

ラン→モホーク→ジャンプに入っているが、それ以外は両足滑走。

スプレッドイーグル(スケーティングムーブメント)、カウンター、ラン、簡単なステップをしてスプレッドイーグルが少し入りジャンプ(転倒)。

ジャンプの転倒により、つなぎの部分が少し欠けていってしまうことがある。失敗の仕方によって欠けないことはある。

モホーク、スリーターン、次のジャンプ。

難しさという点ではあまり難しいことをやっているわけではないし、質もあまりいいものではない、普通程度であるという評価になる。

ストリードのTransition/Linking Footwork 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
5.00 5.50 5.00 5.25 5.50 5.25 5.00 5.00 4.75 → 5.14


トランジションの点を上げようと思ったら、スケーティングスキルを上げないと難しい。

スケーティングの技術が確かでないと、トランジションでいろいろなことをやりこなすことはできない。




【パフォーマンスの特性】

評価項目


・体の動き、感情の表現、知性の表出

・身のこなし

・スタイルと個性/人格

・動作の明確さ

・多様さとめりはり

・投射

「投射」とは、自分の持っているアイデアを表に出してみんなに伝えることができたかどうか



評価項目の到達度と点数の関係( )内は点数
--------------
傑出(10)
   (9)
--------------
非常に良い(8)  →約75%
良い(7)     →約75%
--------------
普通より良い(6)
--------------
普通(5)→約50%
--------------
まあまあ(4)
--------------
弱い(3)     →約25%
劣る(2)     →約25%
--------------
非常に劣る(1)
--------------
極めて劣る(1未満)
--------------


番組内で全部を見るのは難しいので、美しい身のこなしができたかどうか、動作が明確であったかどうかの2点に絞って見てみる。

(例:デニス・テンの場合)




姿勢が良く、身のこなしが良い。一つ一つのムーブメントが明確。

3A後→人格も見えてきた。

曲調が変わる→体の動き自体も変わったし、表情、表現の仕方も変わった。

心に残る演技であったかどうか。非常に良いというレベルに達していた。

デニス・テンのPerformance/Execution 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
9.25 8.50 8.75 9.50 8.50 8.25 8.75 9.25 9.25 → 8.89



【コレオグラフィーの特性】

振付師のコンセプト、アイデアと選手の高度な技術が融合すれば、心に残るプログラムが完成する。

評価項目

・目的(アイデア、コンセプト、ビジョン、雰囲気)

・配分(各部分の等しい重み付け)

・統一性(全動作の意図的な一貫性)

・個人的および公的空間の利用

・フレージングと形式(動作および部分が音楽のフレーズに合っていること)

・目的、動作およびデザインの創造性



評価項目の到達度と点数の関係( )内は点数
--------------
傑出(10)
   (9)
--------------
非常に良い(8)  →約75%
良い(7)     →約75%
--------------
普通より良い(6)
--------------
普通(5)→約50%
--------------
まあまあ(4)
--------------
弱い(3)     →約25%
劣る(2)     →約25%
--------------
非常に劣る(1)
--------------
極めて劣る(1未満)
--------------


プログラムの構成、リンクの使い方(全体をくまなく使っているか)を見ている。

「統一性」はすべての動作が意味合いを持って構成されていたかどうか。

「個人的および公的空間の利用」は自分だけで満足して滑っているのではなく、見ている人の空間までもを支配していたかどうか。

独創性があったかどうかも見ている。


(例:デニス・テンの場合)

独創性、明確な意図のある振り付けかを見ていく。

「アーティスト」という曲の持つ雰囲気が表現されているかどうかが見えてきているし、音楽に合った動きになっている。


デニス・テンのChreography/Composition 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
9.50 8.50 8.50 9.50 8.50 8.50 8.50 9.00 9.50 → 8.86


【インタープリテーションの特性】

評価項目


・音楽に合った無駄のない楽な動作(タイミング)

・音楽のスタイル
 特徴およびリズムの表現

・音楽のニュアンスを反映するためのフィネスの利用

フィネスとは、音楽がだんだん速くなったり(強さ)遅くなったり(弱さ)するのを表現できていたかどうかということ。


評価項目の到達度と点数の関係( )内は点数
--------------
傑出(10)
   (9)
--------------
非常に良い(8)  →約75%
良い(7)     →約75%
--------------
普通より良い(6)
--------------
普通(5)→約50%
--------------
まあまあ(4)
--------------
弱い(3)     →約25%
劣る(2)     →約25%
--------------
非常に劣る(1)
--------------
極めて劣る(1未満)
--------------



「音楽のニュアンスを反映するためのフィネスの利用」に注目して演技を見てみる。

(例:24位のユストゥス・ストリード(デンマーク)の場合)

速いパートからスローパートへ→動き自体は遅くなっているが、ムーブメントは変わっていない。

もっと曲の特徴をとらえて流れを表現できるといい。


ストリードのInterpretation 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
5.75 5.75 5.25 5.75 6.00 6.25 5.25 5.75 7.00 → 5.79



(例:デニス・テンの場合)

フライングシットスピン→スイングの動作が入っていたが、音が強くなるところが表現されていた。

曲調が変わる→軽やかな動き、ちょっとした動きだったが表現されていた。

一つ一つの音に合わせて、ムーブメントがつながっていた。

音が弱くなったところ→スプレッドイーグルというふうに、きちんと表現できていた。

思わずガッツポーズ→曲によっては合わないこともあるが、この曲には違和感はない。

デニス・テンのInterpretation 各ジャッジがつけた点と最終的な得点
9.25 8.75 8.75 9.50 8.50 8.50 8.75 8.75 9.25 → 8.86


【まとめ】

5コンポーネンツはどの項目も連動性があり、スケーティングスキルはスケートの土台。
土台がしっかりしていないと、他の項目はしっかりとやりこなせない。

何といってもスケーティングスキルをしっかりと磨いてほしい。

家造りに例えると、
スケーティングスキルは土台。
振り付けは設計。
パフォーマンスはどういう家を実際に作るか。
トランジションは廊下。
インタープリテーションは設計通りに建てられたか、スムーズに廊下を通って各部屋に入れたかを見る。

それぞれを別々に見ているので、5項目すべてが同じような点数になることはない。


【減点について】

テクニカル・パネルが見る減点

・転倒 転倒するごとに-1.00

レフェリーが見る減点

・制限時間違反 5秒ごとに-1.00

レフェリーを含むジャッジの多数決で見る減点(5対5なら減点とは見なされない)

・音楽違反 -1.00
・衣装、小道具の違反 -1.00



◆演技中断の新ルール
今シーズンは五輪があるため、演技中断でエキサイティングな試合が出来なくなるのを防ぐために設けられた。

予期せぬ故障や装具の不備などで演技を中断した場合

40秒以内に再開(レフェリーへの申告なし)
 10秒以内 → 減点なし
 11~20秒 → -1.00
 21~30秒 → -2.00
(新)40秒を超えた場合 → 棄権


レフェリーへ中断の申告をした場合は3分間の猶予

(新)3分以内演技再開 → -5.00
 3分以内では不可能 → 棄権
 2度目の中断も棄権となる。

いかなる中断もPCSに影響することとなり、演技の中断が順位に大きく響くこととなった。



TES編はこちら。

テクニカル・パネルの役割(1)

テクニカル・パネルの役割(2)

テクニカル・パネルの役割(3)

テクニカル・パネルの役割(4)

[ 2014/04/07 ] フィギュアスケート資料室 | TB(-) | CM(0)

ジャッジが語るPCS (1)

Jスポのフィギュアスケートラボ#2「演技構成編」より。※印は自分でつけたメモ


ジャンプ、スピン、ステップのGOE(出来栄え)やPCS(5コンポーネンツ:演技構成点)の分析を行う。プロトコルの見方も解説。

解説者は岡部由起子(ISU シングル・ペア レフェリー/ISU シングル・ペア ジャッジ/ISU シングル テクニカル・コントローラー)。
ナビゲーター:小林千鶴アナ

#1のTES編では岡部さんはテクニカル・パネルとしての観点から解説したが、今回はジャッジ/レフェリーとしての観点から解説を行う。

★主要な国際大会におけるジャッジ団の構成

<レフェリー>
・試合前・直前・試合後のミーティングを主導する
・試合進行の管理、選手・ジャッジの監督
・氷の状態や照明、音量などのチェック
・減点の判定
・ジャッジと同様の採点を行う(得点には反映されない)
・滑走順の抽選、表彰式へも出席する

<ジャッジ>(13人の中から9人が選出)
ジャッジ(No.1~No.9)
・エレメンツの出来栄え(GOE)の評価
・演技構成点(プログラム・コンポーネンツ)の評価

リンクサイドにこのように並んでいる↓
(9)(8)(7)(6)レフェリー(5)(4)(3)(2)(1)

大きな国際大会には各国から13人が招集されている。
テクニカル・パネルはSP、FSともに同じメンバーで判定を行うが、ジャッジには試合45分前に抽選がある。


SPの場合
13人→9人が抽選で選ばれ、採点を行う。

FSの場合
SPで抽選に漏れた4人+SPの9人から抽選で5人が選出され、9人で採点を行う。

特定の国や選手に評価が偏らないように配慮されたシステムである。


では、試合後に公開される採点表(プロトコル)でジャッジの担当する役割を見ていこう。


(例 2013世界選手権 男子FS デニス・テン)

プロトコル(PDF注意)http://www.isuresults.com/results/wc2013/wc2013_Men_FS_Scores.pdf


★GOEのつけ方

テンGOE


#1のTES編では左端の1~13の要素について見てきたが、今回は赤で囲ったGOE(出来栄え点)について見てみる。

一番上の4T(4回転トゥループ)については各ジャッジのつけたGOEは2と3しか並んでいない。

最高点と最低点をカットして平均を出すので、このうちの2と3を一つずつカットして7人の平均を出す。

テン4T上下カット←クリックで拡大



(2+2+2+3+3+2+2)÷7=2.285・・・→平均は四捨五入して2.29

だが、単純にこの結果がそのままGOEとして入るわけではない

Base Value(基礎点)に対してどの程度の点が入るかは計算表があり、それによって決まる。


※メモ---------------
計算表とは、下記の資料の「価値尺度(SOV)」のこと。
(↓PDF注意↓)
「国際スケート連盟コミュニケーション第1790 号 シングルおよびペア・スケーティング 価値尺度(SOV),難度レベル(LOD),GOE 採点のガイドライン」

最新版
国際スケート連盟コミュニケーション第1861 号
シングルおよびペア・スケーティング
価値尺度(SOV),難度レベル(LOD),GOE 採点のガイドライン


あわせてこちらも。

国際スケート連盟コミュニケーション第1884号
シングルおよびペア・スケーティング
コミュニケーション第1861号の修正および訂正


(「日本スケート連盟」公式サイトのスケートインフォメーション「ISUコミュニケーション/ハンドブックQ&A」より

------------------


4Tの場合はGOE+2→+2、+3→+3のように価値はそのまま生かされるので、上記の計算結果の2.29がそのままGOEとして入るが、たとえばChSq1(コレオシーケンス)の場合、
3→2.1
2→1.4
となるため、右端の最低点2と最高点3をカットして、

(2.1+2.1+2.1+2.1+2.1+1.4+2.1)÷7=2.00

となる。

テンchsq←クリックで拡大

※ChSqのレベルは1で固定。GOEの評価のみで採点する。



★PCS(5コンポーネンツ:演技構成点)の評価について

GOE同様、最高点、最低点がカットされるが、こちらは7人の平均点がそのまま入る。

Skating Skills(スケーティングスキル)スケーティング技術
Transition / Linking Footwork(トランジション)つなぎのフットワークと動作
Performance / Execution(パフォーマンス/エクスキューション)演技の実行
Choreography / Composition(コリオグラフィー)ふりつけ/構成
Interpretation(インタープリテーション)音楽の解釈

5つのプログラム・コンポーネンツに対して、0~10点の中で点数をつけていく。※0.25刻み

ジャッジが出した点の最高点と最低点をカットしたものの平均にファクターをかけて最終的な点数にする。


Factor(係数)男子フリー 2.00
  ショート1.00
女子フリー 1.60
  ショート0.80

つまり、5コンポーネンツは100点満点で計算されているということ。


デニス・テン選手の場合、 

(9.00+8.50+8.25+8.50+8.50+8.25+8.75)÷7×(ファクター)2.00=17.08
(9.00+8.25+8.50+8.00+8.25+8.25+8.75)÷7×(ファクター)2.00=16.86
(9.25+8.50+8.75+8.50+8.75+9.25+9.25)÷7×(ファクター)2.00=17.78
(8.50+9.50+8.50+8.50+8.50+9.00+9.50)÷7×(ファクター)2.00=17.72
(9.25+8.75+8.75+8.50+8.75+8.75+9.25)÷7×(ファクター)2.00=17.72

合計87.16という得点になる。


★★★GOEの研究★★★

テクニカル・パネルは行われたエレメンツ(要素)やレベルを判定したが、ジャッジはエレメンツの出来栄え(GOE)を評価する。
GOEとはGrade of Executionの略。

その評価にもガイドラインと呼ばれる基準があり、これに基づいてGOEを出している。


【プラス面のGOEガイドライン(シングル)】

ジャンプ要素


(1)予想外の/独創的な/難しい入り

(2)明確ではっきりとしたステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る

(3)空中での姿勢変形/ディレイド回転(※跳び上がってから回る)のジャンプ

(4)高さおよび距離が十分

(5)(四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢/独創的な出方

(6)入りから出までの流れが十分(ジャンプ・コンビネーション/シークエンスを含む)

(7)開始から終了まで無駄な力が全く無い

(8)音楽構造に要素が合っている

当てはまる項目数によってGOEの加点をいくつにするか、次のように決められている。

2項目:+1  4項目:+2  6項目以上:+3



スピン

(1)スピン中の回転速度 あるいは回転速度の増加が十分

(2)すばやくスピンの軸を取ることができる

(3)全ての姿勢でのバランスのとれた回転数

(4)規定回転数を明らかに超えた回転

(5)姿勢が良い(フライング・スピンの場合には空中での高さおよび姿勢を含む)

(6)独創的でオリジナリティがある

(7)全局面でのコントロールが十分

(8)音楽構造に要素が合っている

当てはまる項目数によってGOEの加点をいくつにするか、次のように決められている。

2項目:+1  4項目:+2  6項目以上:+3



ステップシークエンス

(1)エネルギーが十分で焦点の定まった演技

(2)シークエンス中のスピード またはスピードの加速が十分

(3)十分に明確で正確

(4)深いはっきりとしたエッジ(全てのターンの入りと出を含む)

(5)全身が関わり十分にコントロールされた正確なステップ

(6)独創的でオリジナリティがある

(7)開始から終了まで無駄な力が全く無い

(8)音楽構造を要素が高めている

当てはまる項目数によってGOEの加点をいくつにするか、次のように決められている。

2項目:+1  4項目:+2  6項目以上:+3



昨シーズン、(8)は「音楽構造に要素が合っている」だったが、今シーズンは「音楽構造を要素が高めている」とやや難易度が上がっている。

★ここが大事★岡部さんのコメント---------------------------------

レベルを取ることは大切だが、レベルを取ることだけにとらわれていてはいけない。

たとえば、レイバックスピンのレベル2で全員のジャッジがGOE+3をつけた場合とレベル4でGOE-3だった場合を比べてみると、

レイバックスピン(LSp)
 レベル2 基礎点 2.40  GOE+1.50 = 3.90
 レベル4 基礎点 3.20  GOE-0.90 = 2.30

※GOEは換算表にてSOVを出している。

となり、結果的にレベル2の方が点数が高くなることもあり得るので、質のいいスピン、ステップをしてほしい。

基礎点ではなくGOEで点数を稼ぐやり方もある。

一番いいのはレベル4でGOE+3のステップやスピンをやること。

------------------------------------------


コレオグラフィックシークエンス(昨シーズン2012-2013より導入)

(1)流れがよく エネルギーが十分で焦点の定まった演技

(2)シークエンス中のスピード またはスピードの加速が十分

(3)十分に明確で正確

(4)全身が関わり十分にコントロールされている

(5)独創的でオリジナリティがある

(6)無駄な力が全くない

(7)プログラムのコンセプト/特徴を反映している

(8)音楽構造を要素が高めている



レベルが1に固定されているため、GOEの評価が鍵となる。


特にステップシークエンスの(4)「深いはっきりとしたエッジ」に代わり、(7)「プログラムのコンセプト/特徴を反映している」が加わっている。

難しいことをする必要はなく、いかにプログラムをよりよく見せているか、特徴を見せているかがポイントになる。



【レベル4 GOE+3の演技と解説 2013世界選手権から】

<<ジャンプ>>


パトリック・チャン


最初のコンビネーション・ジャンプ
4回転トゥループ+3回転トゥループ(4T+3T) 基礎点10.30+4.10→14.40

(4)高さおよび距離が十分

(5)(四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢/独創的な出方

(6)入りから出までの流れが十分(ジャンプ・コンビネーション/シークエンスを含む)

(7)開始から終了まで無駄な力が全く無い

(8)音楽構造に要素が合っている

これらの項目に一致するので、GOE+2~+3をもらってまったく問題のない素晴らしいジャンプだった。


実際のチャンのGOEと各ジャッジがつけたGOE

+2.57←2 3 2 3 3 3 3 2 2



<<スピン>>

羽生結弦




最後のスピン
フライング足換えシットスピン(FCSSp)レベル4 基礎点3.00

(2)すばやくスピンの軸を取ることができる

(3)全ての姿勢でのバランスのとれた回転数

(5)姿勢が良い(フライング・スピンの場合には空中での高さおよび姿勢を含む)

(7)全局面でのコントロールが十分

(8)音楽構造に要素が合っている

これらの項目に一致するので、GOE+2くらいまではもらえるのではないか。

フライングの入りからシットフォワードで最初のところ、軸が少しずれていってしまった。シットビハインド、これは軸がしっかりとれている。

+2から始まり、最初にトラベリング(軸のずれ)を起こしているので、そこから-1したジャッジもいたかもしれない。最終的にはスピンとしては素晴らしいものだった。

彼は柔軟性もあるし、スピンに定評のある選手。最後のスピンというのは体力的にも大変だが、美しいポジションでスピンをすることができていた。

実際の羽生のGOEと各ジャッジがつけたGOE

+0.71←2 1 2 1 1 1 2 1 2



女子は比較的GOE+3のスピンをもらえる選手が多い。やはり女子の方が柔軟性があるということかもしれない。

(例)四大陸選手権2013 グレイシー・ゴールド(アメリカ)レイバックスピン レベル4

そして、オリジナリティのあるスピンも女子の方が多いかもしれない。

(例)全米選手権2013 キャロライン・ジャン(アメリカ) ドーナツスピン



<<ステップシークエンス>>

高橋大輔




ステップシークエンス(StSq)レベル4 基礎点3.90

ステップの場合は音楽をよく聞いて、音楽に合わせてどのように動いているかを見てほしい。

(1)エネルギーが十分で焦点の定まった演技

(2)シークエンス中のスピード またはスピードの加速が十分

(3)十分に明確で正確

(4)深いはっきりとしたエッジ(全てのターンの入りと出を含む)

(5)全身が関わり十分にコントロールされた正確なステップ

(6)独創的でオリジナリティがある

(7)開始から終了まで無駄な力が全く無い

(8)音楽構造を要素が高めている

すべてにあてはまるので、GOE+3をもらってもいいステップだった。

実際の高橋のGOEと各ジャッジがつけたGOE

+1.70←3 2 2 3 2 3 2 2 3




【マイナス面のGOEガイドライン(シングル)】

<<ジャンプ>>

◆最終的なGOEが必ずマイナスとなるエラー


SP:規定回転数に1回転以上不足→-3

SP:1つのジャンプのみからなるコンボ→-3

ダウングレード判定(<<)→-2 から -3

SP:ジャンプの前に要求されているステップ/動作が無い→-3

転倒→-3

1ジャンプの着氷が両足→-3

1ジャンプの着氷でのステップ・アウト→-2 から -3

1ジャンプで両手がタッチ・ダウン→-2

ジャンプの間に2つのスリー・ターン(ジャンプ・コンビネーション)→-2

重度の踏み切りエッジ違反(e)→-2 から -3


◆最終的なGOEの+-は制約されないエラー

スピード、高さ、距離、空中姿勢が拙劣→-1 から -2

回転が足りない(記号無し)→-1

回転不足判定(<)→-1 から -2

動作から直ちにジャンプしない→-1 から -2

ジャンプ前のステップ/動作が1つのみ→-1 から -2

拙劣な踏み切り→-1 から -2

ジャンプ間で流れ/リズムが無くなる(コンビネーション/シークエンス)→-1 から -2

拙い着氷(悪い姿勢/間違ったエッジ/引っかき等)→-1 から -2

長い構え→-1 から -2

片手またはフリー・フットがタッチ・ダウン→-1

F/Lzの不明確な踏み切りエッジ(e)→-1 から -2

F/Lzの不明確な踏み切りエッジ(記号無し)→-1


どのようなミスをしたかでマイナスの幅も変わってくる。

「◆最終的なGOEが必ずマイナスとなるエラー」に当てはまるものについては、最終的なGOEは必ずマイナスという失敗の仕方になる。

「◆最終的なGOEの+-は制約されないエラー」の方は、必ずしもマイナスでなくても良い、つまり、ゼロもしくはプラスのGOEをつけても良いというガイドラインになる。※ジャッジの裁量に任せられるということ。



【マイナス面のGOEガイドライン(シングル)】

<<スピン>>

◆最終的なGOEが必ずマイナスとなるエラー


転倒→-3

SP:空中姿勢がとれていない(Fスピン)→-2 から -3

両手がタッチ・ダウン→-2


◆最終的なGOEの+-は制約されないエラー

必須回転数に満たない→-1 から -2

姿勢が拙劣/ぎこちない、回転速度が遅い、軸の流れ→-1 から -3

美しさを損なう姿勢→-1 から -3

FS:空中姿勢がとれていない(Fスピン/Fエントランス)→-1 から -3

足換えが拙劣(回転方向の転換時を除く入/出のカーブ、非基本姿勢になる等)→-1 から -3

Fスピンでの正しくない踏み切り、着氷→-1 から -2

フリー・フットまたは片手がタッチ・ダウン→-1


【マイナス面のGOEガイドライン(シングル)】

<<ステップ>>

◆最終的なGOEが必ずマイナスとなるエラー


転倒→-3

ステップ/ターンを行っているのがパターンの半分に満たない→-2 から -3


◆最終的なGOEの+-は制約されないエラー

パターンが正しくない(小さすぎる)→-1 から -2

ステップやターンの質、姿勢が拙劣→-1 から -3

つまずき→-1 から -2

音楽に一致していない→-1 から -2

SP:半回転を超えるリストにあるジャンプが含まれる→-1



<<コレオグラフィックシークエンス>>

◆最終的なGOEが必ずマイナスとなるエラー


転倒→-3

重大なエラー→-2 から -3


◆最終的なGOEの+-は制約されないエラー

つまずき→-1 から -2

音楽に一致していない→-1 から -3

動作の質が拙劣→-1 から -2



GOEはまずプラスの面を見てからマイナスの面を見るので、プラスの面が大きければ、たとえエラーをしてしまってもマイナスのGOEにならないことがある。

SP(ショートプログラム)の中にはGOEが-3でなければならないというものがある。

たとえばジャンプの場合、
SP:規定回転数に1回転以上不足→-3
SP:1つのジャンプのみからなるコンボ→-3
これらは-3しかつけられない。



(2)に続く→

[ 2014/04/06 ] フィギュアスケート資料室 | TB(-) | CM(6)

PCS(演技構成点)の謎を解く記事

PCS(Program Component Score 別名5コンポーネンツ。「演技構成点」と訳される)の採点基準はなかなか理解するのが難しいですが、今まで読んだどの解説よりも具体的でわかりやすい記事がありました。

それがこちら。

フィギュア採点の最難関を徹底解説!
ソチ演技で見る「演技構成点」とは。


野口美惠 = 文

以下、引用部分を><で囲み、強調したい部分は赤字にしてみました。

>PCSは全部で5項目。「スケーティング技術」「つなぎのフットワークと動作」「演技と実行」「振り付け/構成」「音楽の解釈」がある。<

プロトコル(採点表)の下半分にある、これですね。

Skating Skills→スケーティング技術
Transition / Linking Footwork→つなぎのフットワークと動作
Performance / Execution→演技と実行
Choreography / Composition→振り付け/構成
Interpretation→音楽の解釈


> まずよく聞かれる誤解は「芸術面なのに、スケート技術やフットワークなど、技術的なことを評価するのはなぜ?」というもの。しかしフィギュアスケートは、あくまでも「滑ってなんぼ」の競技だ。「滑りの技術を通して表現する」ことが大前提になる。足元の技術が多彩であるほど、より芸術性の高い表現が出来るのだ。<


★スケーティング技術
>「スケーティング技術」は、身体のバランスがすべて。スピードの緩急、左右への複雑な動き、全体のスムーズさなど、あらゆる足元の能力を総合的に判断する。4回転ジャンプのような高度なジャンプを跳ぶためには、踏み切りも着氷も高いスケーティング技術が必要となることから、ジャンプの能力もある程度は反映される。

4回転ジャンプについては、本田武史さんが「トリプルアクセルまでは何となく力で跳べてしまうジャンプなんですが、4回転は力だけじゃ跳べなくて、微妙で繊細な感覚というのが絶対に必要なんです。」とスポーツナビのコラムで語っていたのが印象的です。それだけ力の制御が難しんですね。
コラムはこちら→http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1314/columndtl/201402100008-spnavi?page=1


> ソチ五輪で最も高いスケーティング技術をマークしたのは、パトリック・チャン(カナダ)<

スピードの加減速を使って音楽を表現するという能力が卓越している。他の選手が減速してしまうようなターンでも、チャンは加速することができる。つまり、難しいフットワークをしながら加減速することで音楽の緩急を表現する、というスケートにしか出来ない表現を可能にしているのだ。<

チャン選手の滑りは見ていて惚れ惚れします。エッジに乗ってうねるようなスケーティング。女子ではキム・ヨナ選手やカロリーナ・コストナー選手、鈴木明子選手なども、これぞフィギュアスケート! という見事なスケーティングで魅せてくれます。


★つなぎのフットワークと動作
>これは、ジャンプ、スピン、ステップシークエンスなどのすべての要素の間にある「つなぎ」の部分で、いかに複雑で多様な動作をしているか。ジャンプの前後にステップや演技が入るものが一番分かりやすいだろう。またフットワークだけでなく、上半身を大きく動かしてバランスが難しいポジションを取るなど、すべての小技が評価される。<

下位の選手を見ていると、音楽に合わせて要素をこなすのに精いっぱいで、次から次へと要素に追いまくられているという印象を受けます。
それに比べて上位の選手は要素と要素の間にいろいろと工夫された小技を入れているのがわかります。これも卓越したスケーティング技術があってこそですね。

「つなぎ」の名手として、記事ではアメリカのジェイソン・ブラウン選手の名が挙げられています。彼は4回転をプログラムに入れていないので、その分ジャンプの入りにふんだんに工夫を凝らし、そこでGOEの加点をもらい、PCSのつなぎで評価を稼ぐという戦略を取っています。

体幹が強いのか、どんな動きをしても上半身がまったくブレないし、音に動きをはめるのが非常にうまい選手です。見ていてとても引き込まれます。大好き!(*^。^*)

記事ではエフゲニー・プルシェンコ選手の4.5~9.25までジャッジによって点が分かれた「つなぎ」についても言及があります。

>「ボディムーブメントが無い」とみなしたジャッジは4.5を、「フットワークは細やか」と考えたジャッジは9.25をつけた。<

実は私も彼の演技は「つなぎ」部分にさほど工夫が感じられず、止まったまま見得を切るみたいな動きはあまり評価されないのでは…という気がしていました。

最高点と最低点をカットして平均化するにしても、これだけジャッジの間で評価が分かれると、試合後のミーティングで、どう評価するのが適当かと協議の議題に上がったのではないかと思います。


★演技と実行

>ここが一般的に考える「演技力」にあたる。ジャッジは、身のこなし、音楽を捉えた感情表現、そして選手独自の世界観などが素晴らしいものを評価する。もしジャンプでミスが多く、表現がぶつ切りになるようであれば、当然ながら一貫した世界観が崩れてしまうので、この項目は低く評価される。<

ジャンプで転倒すると必ずPCSの評価に響くと思っている人も多いと思いますが、それは転倒がプログラムの世界観を壊した場合で、転倒からの復帰がスムーズであれば、さほど評価には響きません。

記事では羽生選手のショートの演技について触れられています。

> 例えば、羽生結弦が史上初の100点超えを果たしたショートでは、PCSのうち最も高く評価されたのは「演技と実行」で9.5。ブルース「パリの散歩道」のプログラムに合った、身体の動き、メリハリ、そして個性的な魅力に溢れていたということになる。<

普通、持越しで2シーズン同じの見慣れたプログラム、しかも何度も世界歴代最高得点を更新しているとなると、自然とジャッジの要求水準も高くなってしまって、前と同じことをしていたのでは評価も上がらないのではないかと思うんですが、その期待を上回るほど毎回ブラッシュアップしてきているからこそ、これほど高評価がもらえるんでしょうね。


★振り付け/構成
>これは振付師が作ったプログラムへの評価だけではないので、誤解してはいけない。むしろ、どれだけバランス良く空間を使ったかという作品全体のデザイン性を見る。例えば、リンクの片側ばかりに偏っていたり、左右行ったり来たりテニスゲームのようになる構成は、評価が低い。逆に、氷面全体を上手に使いながら、目線や上半身の使い方で上下左右の空間へと演技を広げていくと、デザイン性が高いと考える。<

振り付けって振付師への評価になるんじゃないの? 選手への評価とどう結びつくの? となかなか謎な項目だったんですが、この説明はわかりやすいですね。そうか、空間のデザインか。

例としてはロシアのユリア・リプニツカヤのフリー「シンドラーのリスト」が挙げられています。
このプログラムで私は彼女が好きになりました。昨季よりスケーティングがうまくなったせいか、一つ年齢を重ねたせいか、表現力が増しましたね。

元となった映画は見ていないのですが、ひとつひとつの動きや目線の配り方が細やかで、哀愁を帯びた少女らしい表情から世界観が伝わってきます。特にラストの不安げな表情は、これから彼女の身に起こることを暗示するようなドラマティックな終わり方で強く印象に残ります。

★音楽の解釈
>これは動きのタイミング、またラテンやフラメンコなど特徴的な音楽であればそれを反映した動きなど、いわゆる音楽表現だ。<

高橋大輔選手のフリーの「音楽の解釈」は全選手の中で1位だったことが挙げられています。

>身体が音楽を奏でているような演技という、素晴らしいものだった。<

実は今季の「ビートルズメドレー」を初めて見た時、五輪シーズンなのにあまり盛り上がらない曲でどうなんだろう、大丈夫かなと思ったのですが、滑り込んでいくうちに高橋大輔のビートルズにしてしまったのはさすがでした。

ジェイソン・ブラウンのように4回転ジャンプなしで加点を積み上げてゆく戦略でも、十分彼の演技は生きたと思うのですが…競技って難しいですね。

> また、女子3位のカロリナ・コストナー(イタリア)は、「音楽の解釈」で9.61点と、男女全選手のなかで最高点をマークした。<

「ボレロ」は同じリズムが延々と繰り返されていくうちに楽器が重層的に積み上がってゆく曲で、その盛り上がりをスケートの演技で表現するのはとても難しい、彼女でなければできなかったと何かで読みましたが、振り付けの細かいところに工夫があり、まったくダレることなく飽きさせず、最後まで目の離せなくなる演技でした。

「ボレロ」も良かったんですが、私はショートの「アヴェ・マリア」が良かったです。3Lo(トリプルループ)では美しさのあまり、思わず溜息が出ました。

とにかく彼女の演技は上背があるせいもあるけど見栄えがして、スケーティングが惚れ惚れするほどうまくってたまりません。

> いずれにしても5項目すべてに共通するのは「ムーブメント(動作)」であること。身体芸術であるフィギュアスケートは、一瞬一瞬の動きのなかに感動が隠れている。<

こうやって見ていると、PCSは5項目に分けて点数を落とし込んではいるけれど、要素も含めたプログラム全体を見て評価しているんだってことがわかります。TESで要素を評価するから、ついついPCSはそれ以外の技術を見ていると考えがちですが、全部の技術が組み合わさって一つのプログラムになるんですものね。※あくまで私見です。


スケートはムーブメントで表す身体芸術。これからも一瞬一瞬の動きの中にある感動を、ひとつたりとも見逃さずに楽しみたいと思います(´▽`*)


[ 2014/03/23 ] フィギュアスケート資料室 | TB(-) | CM(0)

GPF 気になった情報 ~浅田選手についての技術解説~

技術解説がすごく面白かったので投下。
浅田真央選手についてです。

元の記事が消えるともったいないので技術解説部分はほとんど引用してしまいましたが、できればリンク先へどうぞ。
>を冒頭につけたのが引用部分です。

2007年四大陸選手権、04年全日本選手権で4位の成績を持つ澤田亜紀氏の解説。

★真央、着々と高める完成度 フリーも期待
GPファイナル女子SP解説
澤田亜紀
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1314/columndtl/201312060001-spnavi

>  コンビネーションジャンプ(連続ジャンプ)の1つ目を跳ぶ時には、後に続く2つ目のジャンプのことを考えて、ジャンプの“幅”を意識して跳ぶんです。
>高さを意識してしまうと、着氷で詰まってしまい次にうまくつなげないのですが、跳んだ距離感、“幅”を意識すると2つのジャンプが流れるようにつながります。

長いので割愛しますが、浅田選手の滑りの長所について、全体が流れるようで強弱もあり、「音がピアノしかないのに、他の音も聞こえてくるような気持ちにさえなります」とはまさしくその通りだと思いました。
ほんとうに、とても優美な演技でしたね。

あとはアシュリーの目力アピールも人がジャッジするので効果的という話や、

>  もちろん、プログラムもジャッジの位置を意識して組んでいます。私もそうだったんですが、自信のあるジャンプはジャッジの前や近い席で跳んだりします。
>浅田選手がフリーで2本のトリプルアクセルに挑戦するとしたら、1つはジャッジの前で、1つは観客席の前に持ってくるのではないかと思います。


★守らず攻める浅田真央の強さ
GPファイナル女子FS解説
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1314/columndtl/201312070013-spnavi?page=1

冒頭の3Aの転倒について、

>きれいにジャンプを着氷したときのように、お腹を少しだけ折るような姿勢でなく、脇腹を折るような姿勢で下りていました。
>ジャンプの着氷は右足のアウトサイドに乗りながら円を描くように着氷をするのですが、足は右外側に体重が乗っているのに、頭は左側に寄ってしまうと、頭の方が重いのでバランスが傾いてしまいます。

>もしかしたらですが、ショートプログラムでのトリプルアクセルが回転不足になったことで、しっかり回転するために「ジャンプを最後まで締(し)め切ろう」という意識があったのかもしれません。
>ジャンプを長く締めよう(空中姿勢のように体を小さく閉じた状態を保とう)とすると、ジャンプのリズムもわずかながら変わりますし、意識をするだけでもタイミングがずれることもあります。
>同じような形で(体を締めたまま)着氷した場合、男子は筋肉があるのでそのままクルクルとオーバーターンしながらもこらえる選手もいます。でも女子の場合はそのまま転倒する選手が多い気がします。

ジャンプの転倒について、

>ジャンプで転ぶと体力が本当に奪われるんです。今回は他の女子選手も転倒後に調子を崩す選手が多かったですね。
>転倒の影響ですが、転んで流れが止まってしまうと、集中力も一度途切れてしまいますし、もう一度転ぶ前のスピードにもっていくのに体力を使うんです。
>多くの選手は前半に2〜3本ジャンプを入れますが、最初に転ぶとどうしてもその後に影響してしまいますね。
>それでも、ミスした後にスピンなど他の要素が入ると頭を切り替えられたり出来ることもあります。

スピンについて、

>それからすべて最高評価の「レベル4」を獲得したスピンですが、ポジションがきれいで、それでいてスピードも速くてまさに「レベル4」のスピンでした。
>例えば軸足を途中で替えるチェンジフットスピンですが、足を替えても同じ位置で回れるのが良いです。

> それから浅田選手がやっているフライングキャメルスピンは、すごく難しい入り方をしているんです。
>何人かの選手はやっていますが、普通は足を替えた瞬間にガタっとバランスを崩してしまう事もあるような入り方で、実はリスキーな動きなんです。
>それにキャメルスピン(上半身と片脚を、氷と水平にして回転するスピン)でスピードが落ちない、上げられる事もすごいです。

>シットスピン(座った姿勢でのスピン)やドーナツスピン(上から見て円のように見える形のスピン)は、体を小さく“キュッ”と締めたり、膝をしっかり曲げて、遠心力を内側に集中させてスピードを上げる事ができます。
>でも浅田選手のように、腕を大きく広げたキャメルスピンは遠心力が外側に分散してしまい、スピードが落ちやすいんです。

>  キャメルスピンの状態から、シーソーのように体を何度か上下に傾ける「ウィンドミルスピン」も入れていますが、上体を上下にするとバランスを崩すものなんですが、浅田選手はバランスを崩さず同じところで回転しています。
>足の裏の感覚と、体幹の強さがあってこそ、きれいにできる技なんです。

3Aを2本入れることについて、

> いつも1本で構成しているジャンプを2本にすると、息が上がるところが違ったりするのですが、それが上手くいくと筋肉の感じも違うんです。
>感覚的な話になってしまいますが、もうポンポンと跳べてしまうような。
>練習ではなく、いい緊張の中でやってみて感じたこともあると思います。それを全日本で挑戦するかもしれませんね。

以上です。
[ 2013/12/08 ] フィギュアスケート資料室 | TB(-) | CM(6)

テクニカル・パネルの役割(4)

自分メモ。これで技術編はラスト。

★テクニカル・パネルは技術をどのように判定しているか?★

【ステップシークエンス】

★ターンの種類(片足で行われる)
スリー・ターン
ツイズル
ブラケット
ループ
カウンター
ロッカー

★ステップの種類(両足で踏みかえる。可能なものは片足で行われる)
トゥ・ステップ
シャッセ
モホーク
チョクトウ
エッジの変更を伴うカーブ
クロスロール

トゥ・ステップ・・・つま先を細かくついて進む
モホーク・・・ジャンプの前、方向転換する際によく見られる
今回は片足で行われるターンについて。
スリー・ターン、ブラケット、ロッカー、カウンターの説明がここで入る。

※<自分メモ>---
言葉では説明しにくいので、こちらのブログを。図解つき。

「TVでは教えてくれないフィギュアスケート観戦術
~元選手による雑記~」
片足で行うターンの種類
---

他にも、
ループ・・・同じエッジで小さな円を描く。(羽生結弦のFS「ノートルダム・ド・パリ」参照。右足でくるんと回っている)
ツイズル・・・スピンのような回転でくるくる回りながら進んでいく。(デニス・テンのFS「アーティスト」参照)

と、ターンには全部で6種類あり、しかも一つのターンには片足につき前後方向と左右方向の4つのターンが存在する。

【ステップシークエンスのレベルと基礎点】
ステップシークエンス
左から略号とレベル、基礎点。
StSqB レベルB 1.50
StSq1 レベル1 1.80
StSq2 レベル2 2.60
StSq3 レベル3 3.30
StSq4 レベル4 3.90

コレオシークエンス
ChSq1 レベル1固定 2.00


【ステップシークエンスのレベル獲得の特徴】
(1)シークエンス中のターンおよびステップが、最低限に多様(レベル1)、やや多様(レベル2)、多様(レベル3)、複雑(レベル4)である<必須>
最低限に多様→レベル1
 少なくともターン5つ ステップ2つ
やや多様→レベル2
 少なくともターン7つ ステップ4つ
多様→レベル3
 少なくともターン9つ ステップ4つ
複雑→レベル4
 両方向へ5つのターン 両方向へ3つのステップ

ターンもステップも、どの種類も数えてよいのは2回まで。

(2)完全に体が回転する両方向(左と右)への回転 各回転方向とも全体でパターンの少なくとも1/3はカバーすること

(3)少なくともパターンの1/3において上半身の動きを使っている

(4)シークエンス中に明確なリズムで実行する難しい3つのターンの組み合わせ(ロッカー、カウンター、ブラケット、ツイズル、ループ)異なるものを2つ

(1)を満たしていなければ、レベルはそれ以上上がらない。

正確にできていないと認められないので、正確なエッジワークが必要になってくる。

【ジュベールのFSを見ながら解説】
プロトコル
ジュベプロトコル←クリックで拡大

ジュベプロトコル部分



だいたい3:15~3:42のあたり。

3F+2T後のトランジションが終わってからステップが始まる。

岡部さん「回転方向があったかどうか見てみましょう。
反時計回り
時計回り
時計回り
反時計回り
反時計回り
十分できていますね。
時計回り
反時計回り
反時計回り
こうやって見ていくと、1/3ずつ反時計回りと時計回りが行われていました」

(2)完全に体が回転する両方向(左と右)への回転 各回転方向とも全体でパターンの少なくとも1/3はカバーすること
を満たしていると判定。

次は、
(3)少なくともパターンの1/3において上半身の動きを使っている
かどうか、また最初から見ていく。

岡部さん「ここはありません。
ここもないですね。
手は上がっているんですけど、体幹部分に影響を与えてはいないです。
ここもないですね。
ここもないですね。
はい、ないです。
ここちょっとありました(3:35あたり。上体を前にちょっと倒したところ)。
ないですね……。
こうやって見ますと、上半身の動きは1/3に達していません」

(3)のレベルの特徴は取れなかった。

次は、
(4)シークエンス中に明確なリズムで実行する難しい3つのターンの組み合わせ(ロッカー、カウンター、ブラケット、ツイズル、ループ)異なるものを2つ
について、また最初から見ていく。

3:15~3:21 ロッカー、ブラケット、カウンター。一つ目の3つの難しいターンの組み合わせあり。
3:23~3:34 ロッカー、カウンター、ツイズル。これが2つ目。一つ目とは違うターンの組み合わせあり。
3:34~3:42「ここもあったんですけど、ちょっと最後のターンで跳んでましたね。
跳んでしまったものはカウントされません

上の2つが実行できたためレベルが上がる特徴を一つ取れた。

(1)<必須>の必要なターンおよびステップの数が多様(レベル3)に達しているので(1)の特徴が取れ、(2)(4)と併せてレベル3になった。

岡部さん「もっと上半身を使う動きになればレベル4になれる可能性は十分ありますが、このステップを見るともともとレベル3で組んできているかなと思えます

今季からショート・バリア(フェンスの短い方)からショート・バリアをいっぱいに使っている、もしくはロング・バリア(フェンスの長い方)からロング・バリアへ2回往復しているかを判定の基準にするようになった。

【コレオグラフィックシークエンス】
昨季から取り入れられたルール。コールの仕方としてはそれが行われたかどうか。
レベル1固定で2.00の基礎点。GOEだけで競争してもらおうということで、より個性的により音楽に合った、よりプログラムの特徴を表したものをということで作られた。

女子の場合はここにスパイラルがないといけない。

※<自分メモ>
岡部さんは、わかりやすいようにレベルの一つずつについてステップを何度も見直して説明していたが、実際の試合ではこんなことはもちろんしないわけで、一度に全部のレベル判定を行っているわけで……すごい集中力と知識と技量が必要だな。


※ルールの詳細は
「日本スケート連盟」公式サイトのスケートインフォメーション「ISUコミュニケーション/ハンドブックQ&A」のページにある
(↓PDF注意↓)
「ジャッジングシステム テクニカル パネル ハンドブック」シングル・スケーティング2013/2014

「国際スケート連盟コミュニケーション第1790 号 シングルおよびペア・スケーティング 価値尺度(SOV),難度レベル(LOD),GOE 採点のガイドライン」


最新版はこちら。
国際スケート連盟コミュニケーション第1861 号
シングルおよびペア・スケーティング
価値尺度(SOV),難度レベル(LOD),GOE 採点のガイドライン


修正版もあわせて必読。

国際スケート連盟コミュニケーション第1884号
シングルおよびペア・スケーティング
コミュニケーション第1861号の修正および訂正


レベル判定などのルールはこちら。

ジャッジングシステム テクニカルパネルハンドブック
2014/2015版


正確を期するために英文直訳の硬い文章なので、初心者にはかなり骨の折れる内容だが、知識がついてくるに従ってじょじょに理解できる部分が増えていく。コミュニケーションとテクニカルパネルハンドブックはスケオタ必携の資料。
[ 2013/12/01 ] フィギュアスケート資料室 | TB(-) | CM(0)










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