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スピンを楽しもう(終) ~2016-17シーズンのルール改正のポイント~

最終回の今回は、今シーズン(2016-2017)のルールが前シーズンと比べてどこが変わったか、レベル判定を楽しむにはここを押さえておけばOKだよというポイントについて書きます。
ちょっと訂正が多くてゴチャゴチャしてしまったので書き換えました。


---資料はこちら---

テクニカルパネルハンドブック2016/2017版
テクニカルパネル(技術審判)向けルールブックとも言うべき書類。ジャンプ、スピン、ステップを判定するルールなどが載っている。

コミュニケーション第2000号
ジャッジパネル向けルールブックとも言うべき書類。各要素の基礎点やGOE(出来映え点)の点数換算表、採点ガイドラインなどが載っている。
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下線が引かれている箇所が昨シーズンからの改正点です。

いったん和訳が出た後も、ちょくちょく修正版がアップされることがあるので、最新のものをチェックしましょう。

ツイッターでルール関係の情報を流してくれる人をフォローしていると、日本語版が出たり修正版が出たりしたタイミングでいち早く教えてもらえるので助かりますよ。←人任せ(^^;

余談ですが、テクニカルパネルハンドブックは昨シーズンが26ページ、今シーズンが19ページで、なんでこんなにページ数が減ったんだろう? と思ったら、今シーズンのは行間を詰めてキツキツに掲載しているだけでした(^^; 読みにくいわ。
今回の改正はマイナーチェンジなので内容の増減はそんなにありません。

日本スケート連盟公式サイトの掲載ページからルール関係の書類を探す方法はこちら→http://rencadiary.blog14.fc2.com/blog-entry-487.html


***


今シーズンのテクニカルパネルハンドブックを読んでみて気づいたことは、今まで曖昧な表現だったのを解釈の差異が生まれないよう、明確な表現に改めているということでした。

では、改正になったところから、レベル判定をする際に関係のあるポイントを挙げていきます。


★女子のショート・プログラムでレイバックスピンが必須ではなくなった

ショート・プログラムで決められた3つのスピンのうち、単一姿勢についての規定が、

2015-2016シーズン
シニア女子・ジュニア女子:レイバックあるいはサイドウェイズ・リーニング・スピン

2016-2017
シニア女子:レイバックあるいはサイドウェイズ・リーニング・スピンまたは足換え無しのシットスピンかキャメルスピン(フライングスピンとは異なる姿勢のもの)

ジュニア女子:レイバックあるいはサイドウェイズ・リーニング・スピンまたは足換え無しのシットスピン


と変更になりました。

レイバック・スピンとは上体が弓なりで後に倒す姿勢、サイドウェイズ・リーニング・スピンとは上体が弓なりで横に倒す姿勢です。
両方含めてレイバックスピンとも言います。

選択の余地が増えたわけですが、それぞれのスピンの基礎点をレベル4で比べると、

レイバック 2.7
キャメル  2.6
シット   2.5


と、レイバックが一番高いので、シットやキャメルの方が得意な選手以外は今まで通りレイバックを入れてくるのではと思います。

なぜ改正になったのか?
レイバックスピンのレベルの獲り方がどの選手も似たり寄ったりでワンパターンになってしまっているので、このままでは選手の成長が促せない(見てても面白くないし)として変更されたのかもしれません。※あくまで推測です。

違ったぜ(^^;
改正の理由は、腰を痛める女子選手が増えたからのようです。


oneさん、教えていただいてありがとうございます。助かりましたヽ(´∀`)ノ





★スピン中のジャンプの要件が緩和された

スピンの最中にジャンプをする場合がありますね。

・同足ジャンプ(スピン中にジャンプして同じ足で降りてスピン続行)
・ジャンプ足換え(スピン中にジャンプして足換えを行いスピン続行)

どちらもレベルが獲れる技なんですが、この要件が緩和されました。

2015-2016シーズン
ジャンプ前に基本姿勢か非基本姿勢で2回転し、ジャンプして同じ足(足換えなら違う足)で着氷後、最初の2回転以内に基本姿勢に達し、その姿勢を2回転保持

2016-2017シーズン
ジャンプして同じ足(足換えなら違う足)で着氷後、最初の2回転以内に基本姿勢に達する。


「基本姿勢に達して2回転保持」は削除され、基本姿勢に達すれば良いだけに緩和されました。





★難エントランスの要件が明確になった

2015-2016シーズン
躊躇や遅延なく意図されたスピンの姿勢に達しなければならず、その姿勢で2回転保持しなければならない。

2016-2017シーズン
意図されたスピンの基本姿勢に最初の2回転以内に達しなければならない。


「躊躇や遅延なく」っていったいどれくらいの間? と曖昧だった表現が、「最初の2回転以内に」と明確にされました。

こちらも「基本姿勢に達して2回転保持」は削除され、基本姿勢に達すれば良いだけに緩和されました。




★足換え無し単一姿勢のフライング・スピンの要件が緩和された

2015-2016シーズン
足換え無しで1姿勢のみのフライングスピンまたはフライングエントランスのスピンでは、
a)はっきりとわかるジャンプを行うこと。
b)着氷後、最初の2回転以内に基本姿勢に達し、その姿勢に最初に達した瞬間から、その姿勢を2回転保持すること。
これらの項目のうち、どちらか1つでも満たされなかったら記号「V」が付く(基礎点が減る)。

2016-2017シーズン
足換え無しで1姿勢のみのフライングスピンまたはフライングエントランスのスピンでは、
はっきりとわかるジャンプを行うこと。この要件が満たされなかった場合のみ、記号「V」が付く(基礎点が減る)。
着氷後、最初の2回転以内に意図された基本姿勢に達すること。


Vが付くのははっきりとしたジャンプがない場合のみになりました。
そしてこちらも「基本姿勢に達して2回転保持」は削除され、基本姿勢に達すれば良いだけに緩和されました。



★ウィンドミル(イリュージョン)でレベルが獲れるのは、プログラムの中で一度きりと厳しくなった
(テクニカルパネルハンドブックP9参照)

2015-2016シーズン
難エントランスとしてイリュージョン(別名ウィンドミル)をやり、コンビネーションスピンの中で難ポジションとしてウィンドミルをやって、それぞれレベルが獲れていた。

2016-2017シーズン
ウィンドミル(イリュージョン)はプログラムで最初にやった1回しかレベルが獲れなくなった。


2つ入れていた選手は、難エントランスを難しいターンなどに替えるか、コンビネーションスピンの非基本姿勢を他の姿勢に替えるかしなくてはならなくなります。




★コンビネーションスピンは3基本姿勢入りが原則となり、2基本姿勢入りだとVが付くようになった
(テクニカルパネルハンドブックP8、11  コミュニケーションP4、8)

コンビネーションスピンの表記から、含まれる基本姿勢の数がなくなりました。

3基本姿勢入りが基本となり、2つしか基本姿勢が入っていないとエラー扱いで記号「V」が付くようになりました。

【例】
足換えありコンビネーションスピン(3基本姿勢入り) レベル4の場合
2015-2016シーズン
CCoSp3p4


2016-2017シーズン
CCoSp4



足換えありコンビネーションスピン(2基本姿勢入り) レベル4の場合
2015-2016シーズン
CCoSp2p4


2016-2017シーズン
CCoSp4V



2015-2016シーズンのテクニカルパネルハンドブックP13には、「よくバランスの取れたフリー・スケーティング・プログラムを構成するためには、2姿勢のスピン・コンビネーションも3姿勢のスピン・コンビネーションも同様のスピンとみなされる」とありました。

つまり、3基本姿勢入りを推奨するよというわけではなく、2基本姿勢入りで構成を組んできてもどっちでもいいよという考え方だったのです。
ただ、基礎点は当然ながら3基本姿勢の方が高かったんですね。


選手としては、難ポジションでなくても基本姿勢を3つ入れさえすれば3基本姿勢入りの基礎点がもらえたので、わざわざ2基本姿勢入りに構成を落として組むメリットはなく、最初から2基本姿勢入りの構成で組んできた選手は今までいなかったか、いてもごく少数だったのではないでしょうか。
みんな3基本姿勢入りで来るのなら、2基本姿勢入りの設定を作る必要はないと判断されたのかもしれません。


「コミュニケーション」に載っている基礎点の表を見ると、昨シーズンは2基本姿勢と3基本姿勢の足換えの有る無しで4通りの表になっていたのが、今シーズンは2基本姿勢の表がバッサリ無くなり、その基礎点がそのまま3基本姿勢の「V」の基礎点にスライドしています。

選手の感覚としては、昨シーズンと変わらないと思いますが、レベル判定をするスケートファンにとっては、プロトコルを見たときの印象が変わりますね。
でも、3基本姿勢入りが基本で、2基本姿勢だったら上に書いたように2pの代わりにVがつくだけなので、すぐに慣れそうです。




★ジュニアがやらなければいけないスピン(規定)

【ショート・プログラム】
・フライングスピンはフライングキャメルスピン
・単一姿勢のスピンは男子は1回のみ足換えありのシットスピン、女子はレイバックスピンまたは足換えなしのシットスピン
・1回のみ足換えありのコンビネーションスピン


※フリー・スケーティングはシニアと同じです。



***

あと改正点に関わらず、ハンドブックのややこしい記述について説明します。



P6 ショート・プログラム
スピンは要求される最少回転数を回らなければならない(中略)この回転数に不足する場合はジャッジにより採点に反映されなければならない。


このように、「ジャッジにより採点に反映されなければならない」とか「ジャッジによってGOEで考慮がされなければならない」と書いてあるものは、レベル判定とは関係なくGOEで減点されるということです。減点されると言っても、他にプラスすべき項目があれば、トータルでマイナスにはならない場合もあります。

レベルに関係する時は、「カウントされない」「レベルはない(無価値)」のようにはっきりと書かれています。




P8 スピンへの入り方
難しい入り方
スピンへの入り方がテクニカル・パネルによって“難しい”とみなされなければ、トランジションとみなされ“難しい入り方”の特徴は依然としてその後のスピンで評価されうる。


この独特の持って回ったような言い方はハンドブックならではですね。
難エントランスが認められずレベルを獲れなかったとしても、その後のスピンで難エントランスをやり、それが認められればそちらでレベルが獲れますよという意味です。




P8 スピンへの入り方
フライング・スピン/フライング・エントランス・スピンにおけるフライング姿勢の難しいバリエーション
(前略)通常のフライング・キャメルの入り方を行っていても、(別のスピンで行う)難しいフライング・エントランスを特徴として数えることができる。


これは、プログラムの中にレベルの獲れない通常のフライングキャメルを入れていても、別のスピンで難しいフライングを入れて、そちらでレベル獲れるよという意味だと思います。




P9 繰り返されたバリエーションにおける特徴
ショート・プログラムとフリー・スケーティングにおいて、一度難しいバリエーションが試みられて同じカテゴリーの難しいバリエーションが行われるとそのバリエーションは数えられないが、それでもこの難しいバリエーションに付随するいかなる特徴も数えられる。


これは例えば、一度難ポジションとしてレベルを獲ったシットフォワードは、またやったとしても難ポジションとしてはもうレベルを獲れませんが、その姿勢でチェンジエッジをしたり、8回転したり、足換え後3基本姿勢の中に組み入れたりなど、別のレベル特徴をやっていればそちらのレベルはカウントするよという意味です。



ざっとですが、こんなもんでしょうか。


【レベル判定をするために、これだけは覚えておいてほしいこと】

1.キャメル、シット、アップライト、レイバックの定義(テクニカルパネルハンドブックP5参照)
2.姿勢が認定されるためには2回転以上必要ということ
3.難ポジションの定義(テクニカルパネルハンドブックP9参照)


レベル構成がわからないとき、レベルを取りこぼした原因に悩んだとき、上の3点をとにかく頭に叩き込んでおくと、だいたいの究明はできます。特に1と2は必須。

あとはハンドブックやコミュニケーションをその都度見ればOKです。一つの事柄について、あちこちバラけて書いてあることがあるので、慣れるまでは迷うかもしれませんが、ファイト!

あ、あと、うちの記事も参考にしてね♪→スピンを楽しもう目次




【 あとがき 】


私が初めてレベル判定の真似事をしたのは、2014年9月25日のことです。

そもそもレベル判定に興味を持ったきっかけは、誰だったか、ある女子選手の一見きれいなレイバックスピンがレベル3なのはなぜだろうと不思議に思ったからなのですが、LSp3やらFCSp2VやらCCoSp2p4やらといった呪文のような略記号に怯え、とても無理と半ばあきらめていました。

そんなときに、ひょんなことからスピンに詳しいMonkonさんにツイッターを通して教えていただくことになったのです。
私が選んだ最初の教材はロンバルディア杯の無良選手の演技でした。

今から思えば、観客の撮影したアングルの厳しい動画しかなかったことや、略記号と姿勢の定義も頭に入りきらないうちに、よくもまあ無謀なことをと思いますが、ともあれあれが私のレベル判定初体験でした。
結果は…(´;ω;`)

そのときのMonkonさんとのやりとりは、「スピンのレベル判定に挑戦してみたよ」という記事にまとめてあります。


それ以来、いろんな細かい知識や、選手の戦略などをMonkonさんに教えてもらっているうち、スピンって奥が深くて面白い! とどんどんのめり込んでいったのです。

間違いが多いながらもなんとか自分でレベル判定ができるようになったのは12月頃でしょうか。

そう、3ヶ月あれば、なんとなくでもレベル判定ができるようになるのです。

ブログに記事が書けるくらいになったのが2015年7月くらい。学び始めてから10ヶ月後ですね。
きっと独学だったらこの倍以上かかっていたか、途中で挫折していたことでしょう。
Monkonさんには本当に感謝しています。



連載を終えて振り返ってみると、もっとわかりやすく書けたんじゃないかという心残りがあります。

一番じっくり説明すべきだった、レベル判定やレベル取りこぼしの原因探りも、一つ一つ丁寧に画像や動画を使って説明したかったのですが、時間がなくてあれで精一杯でした。

GIF動画の作成は「ギフチューブ」という無料サイトを利用しました。
画像作成は動画画面のスクショ→Windowsのペイントに貼って加工しました。原始的(^^;

Windowsのムービーメーカーの使い方を家族に教えてもらったので、回転数のカウントやチェンジエッジなど、動画の中にキャプションを入れた方がわかりやすいものは、時間があったらGIF動画を差し替えたいと思っています(あくまで予定…)。



1年に渡って続けてきた長い長い連載でしたが、ここまでおつきあいいただきありがとうございました+゚。*(*´∀`*)*。゚+


このシリーズ記事が、あなたがスケート観戦を楽しむのに少しでもお役に立てば幸いです。

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[ 2016/08/24 ] スピンを楽しもう | TB(-) | CM(4)

ウィンドミル

いつも素晴らしい記事をありがとうございます。
お陰さまで楽しく勉強させていただいていますm(__)m

今日は今季のウィンドミルの改正についてお尋ねしたいことがあって、初コメントさせていただきました。
JGPフランス大会のZAGITOVA選手のフリー、LSpでウィンドミル(難しい入り方)、CCoSpでウィンドミル(NBPの難しいバリエーション)、どちらもレベルを取っているような気がします。(判定力には自信がないのですが、どちらもレベル4で、それ以外のレベル特徴が私には見つけられません) お時間のあるときに見ていただけますと幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=DAze1hwqeb8&feature=youtu.be
http://www.isuresults.com/results/season1617/jgpfra2016/jgpfra2016_JuniorLadies_FS_Scores.pdf
[ 2016/09/02 13:26 ] [ 編集 ]

Re: ウィンドミル

FTBさん、こんにちは。

LSpでもウィンドミル、CCoSpでもウィンドミルとな!?
もしやまた謎ルールでもあるんじゃないだろうな…と思って演技を見てみました。

結論から先に言うと、CCoSpの方はウィンドミルではレベルを獲っていません。
足換えの後は足換え後3基本姿勢とアップライトストレートで獲っていて、ウィンドミルは単なる飾りですね。

LSp4
https://youtu.be/DAze1hwqeb8?t=2m48s

イリュージョン①-(レイバックサイド→バック(ヘアカッター②))③-ビールマン④

こちらはお分かりだと思います。
で、コンビネーションの方ですが、

CCoSp4
https://youtu.be/DAze1hwqeb8?t=3m40s

シットフォワード①-アップライトフォワード②-足換え-(キャメル基本形-ウィンドミル-シット基本形-アップライトストレート③)④

④からウィンドミルを除くと、足換え後3基本姿勢でレベルを獲っていますね。
1つ1つの姿勢を書き出して眺めてみるとレベル特徴を見つけやすいですよ。

足換え後3基本姿勢の間に同じ足でのジャンプを挟んだりするパターンはあるのですが、ウィンドミルを入れるのは見たことがありません。
なまじ3回転しているので、レベルを獲りに来ているのかと思ってしまいますね。
珍しいケースをご紹介いただき、ありがとうございます! 勉強になりました(*^。^*)

また何かあったらご質問くださいね。私にわかることであればお答えできると思います(*'∇'*)ノ
[ 2016/09/02 20:11 ] [ 編集 ]

お礼

早速のお返事ありがとうございます!
「足換え後3基本姿勢」のことが頭からすっ飛んでいました。
単純な判定ミスでお恥ずかしい^^; お陰さまですっきりしました。
ウィンドミルが単なる飾り…ってすごい選手なんでしょうね!

丁寧に解説していただいてとてもよくわかりました。
見つけ方のヒントや温かいコメントもありがとうございます。
[ 2016/09/02 21:25 ] [ 編集 ]

Re: お礼

レベル特徴はたくさんあるので、最初のうちはなかなかすぐに出てこないですけど、慣れたらパッとわかるようになりますよ。
FTBさんはかなり勉強が進んでいるご様子、今後もいろいろ見て行って、ぜひともレベル判定をマスターしてください!
ファイト~!(≧∇≦)
[ 2016/09/03 17:16 ] [ 編集 ]

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