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PCS(演技構成点)の謎を解く記事

PCS(Program Component Score 別名5コンポーネンツ。「演技構成点」と訳される)の採点基準はなかなか理解するのが難しいですが、今まで読んだどの解説よりも具体的でわかりやすい記事がありました。

それがこちら。

フィギュア採点の最難関を徹底解説!
ソチ演技で見る「演技構成点」とは。


野口美惠 = 文

以下、引用部分を><で囲み、強調したい部分は赤字にしてみました。

>PCSは全部で5項目。「スケーティング技術」「つなぎのフットワークと動作」「演技と実行」「振り付け/構成」「音楽の解釈」がある。<

プロトコル(採点表)の下半分にある、これですね。

Skating Skills→スケーティング技術
Transition / Linking Footwork→つなぎのフットワークと動作
Performance / Execution→演技と実行
Choreography / Composition→振り付け/構成
Interpretation→音楽の解釈


> まずよく聞かれる誤解は「芸術面なのに、スケート技術やフットワークなど、技術的なことを評価するのはなぜ?」というもの。しかしフィギュアスケートは、あくまでも「滑ってなんぼ」の競技だ。「滑りの技術を通して表現する」ことが大前提になる。足元の技術が多彩であるほど、より芸術性の高い表現が出来るのだ。<


★スケーティング技術
>「スケーティング技術」は、身体のバランスがすべて。スピードの緩急、左右への複雑な動き、全体のスムーズさなど、あらゆる足元の能力を総合的に判断する。4回転ジャンプのような高度なジャンプを跳ぶためには、踏み切りも着氷も高いスケーティング技術が必要となることから、ジャンプの能力もある程度は反映される。

4回転ジャンプについては、本田武史さんが「トリプルアクセルまでは何となく力で跳べてしまうジャンプなんですが、4回転は力だけじゃ跳べなくて、微妙で繊細な感覚というのが絶対に必要なんです。」とスポーツナビのコラムで語っていたのが印象的です。それだけ力の制御が難しんですね。
コラムはこちら→http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1314/columndtl/201402100008-spnavi?page=1


> ソチ五輪で最も高いスケーティング技術をマークしたのは、パトリック・チャン(カナダ)<

スピードの加減速を使って音楽を表現するという能力が卓越している。他の選手が減速してしまうようなターンでも、チャンは加速することができる。つまり、難しいフットワークをしながら加減速することで音楽の緩急を表現する、というスケートにしか出来ない表現を可能にしているのだ。<

チャン選手の滑りは見ていて惚れ惚れします。エッジに乗ってうねるようなスケーティング。女子ではキム・ヨナ選手やカロリーナ・コストナー選手、鈴木明子選手なども、これぞフィギュアスケート! という見事なスケーティングで魅せてくれます。


★つなぎのフットワークと動作
>これは、ジャンプ、スピン、ステップシークエンスなどのすべての要素の間にある「つなぎ」の部分で、いかに複雑で多様な動作をしているか。ジャンプの前後にステップや演技が入るものが一番分かりやすいだろう。またフットワークだけでなく、上半身を大きく動かしてバランスが難しいポジションを取るなど、すべての小技が評価される。<

下位の選手を見ていると、音楽に合わせて要素をこなすのに精いっぱいで、次から次へと要素に追いまくられているという印象を受けます。
それに比べて上位の選手は要素と要素の間にいろいろと工夫された小技を入れているのがわかります。これも卓越したスケーティング技術があってこそですね。

「つなぎ」の名手として、記事ではアメリカのジェイソン・ブラウン選手の名が挙げられています。彼は4回転をプログラムに入れていないので、その分ジャンプの入りにふんだんに工夫を凝らし、そこでGOEの加点をもらい、PCSのつなぎで評価を稼ぐという戦略を取っています。

体幹が強いのか、どんな動きをしても上半身がまったくブレないし、音に動きをはめるのが非常にうまい選手です。見ていてとても引き込まれます。大好き!(*^。^*)

記事ではエフゲニー・プルシェンコ選手の4.5~9.25までジャッジによって点が分かれた「つなぎ」についても言及があります。

>「ボディムーブメントが無い」とみなしたジャッジは4.5を、「フットワークは細やか」と考えたジャッジは9.25をつけた。<

実は私も彼の演技は「つなぎ」部分にさほど工夫が感じられず、止まったまま見得を切るみたいな動きはあまり評価されないのでは…という気がしていました。

最高点と最低点をカットして平均化するにしても、これだけジャッジの間で評価が分かれると、試合後のミーティングで、どう評価するのが適当かと協議の議題に上がったのではないかと思います。


★演技と実行

>ここが一般的に考える「演技力」にあたる。ジャッジは、身のこなし、音楽を捉えた感情表現、そして選手独自の世界観などが素晴らしいものを評価する。もしジャンプでミスが多く、表現がぶつ切りになるようであれば、当然ながら一貫した世界観が崩れてしまうので、この項目は低く評価される。<

ジャンプで転倒すると必ずPCSの評価に響くと思っている人も多いと思いますが、それは転倒がプログラムの世界観を壊した場合で、転倒からの復帰がスムーズであれば、さほど評価には響きません。

記事では羽生選手のショートの演技について触れられています。

> 例えば、羽生結弦が史上初の100点超えを果たしたショートでは、PCSのうち最も高く評価されたのは「演技と実行」で9.5。ブルース「パリの散歩道」のプログラムに合った、身体の動き、メリハリ、そして個性的な魅力に溢れていたということになる。<

普通、持越しで2シーズン同じの見慣れたプログラム、しかも何度も世界歴代最高得点を更新しているとなると、自然とジャッジの要求水準も高くなってしまって、前と同じことをしていたのでは評価も上がらないのではないかと思うんですが、その期待を上回るほど毎回ブラッシュアップしてきているからこそ、これほど高評価がもらえるんでしょうね。


★振り付け/構成
>これは振付師が作ったプログラムへの評価だけではないので、誤解してはいけない。むしろ、どれだけバランス良く空間を使ったかという作品全体のデザイン性を見る。例えば、リンクの片側ばかりに偏っていたり、左右行ったり来たりテニスゲームのようになる構成は、評価が低い。逆に、氷面全体を上手に使いながら、目線や上半身の使い方で上下左右の空間へと演技を広げていくと、デザイン性が高いと考える。<

振り付けって振付師への評価になるんじゃないの? 選手への評価とどう結びつくの? となかなか謎な項目だったんですが、この説明はわかりやすいですね。そうか、空間のデザインか。

例としてはロシアのユリア・リプニツカヤのフリー「シンドラーのリスト」が挙げられています。
このプログラムで私は彼女が好きになりました。昨季よりスケーティングがうまくなったせいか、一つ年齢を重ねたせいか、表現力が増しましたね。

元となった映画は見ていないのですが、ひとつひとつの動きや目線の配り方が細やかで、哀愁を帯びた少女らしい表情から世界観が伝わってきます。特にラストの不安げな表情は、これから彼女の身に起こることを暗示するようなドラマティックな終わり方で強く印象に残ります。

★音楽の解釈
>これは動きのタイミング、またラテンやフラメンコなど特徴的な音楽であればそれを反映した動きなど、いわゆる音楽表現だ。<

高橋大輔選手のフリーの「音楽の解釈」は全選手の中で1位だったことが挙げられています。

>身体が音楽を奏でているような演技という、素晴らしいものだった。<

実は今季の「ビートルズメドレー」を初めて見た時、五輪シーズンなのにあまり盛り上がらない曲でどうなんだろう、大丈夫かなと思ったのですが、滑り込んでいくうちに高橋大輔のビートルズにしてしまったのはさすがでした。

ジェイソン・ブラウンのように4回転ジャンプなしで加点を積み上げてゆく戦略でも、十分彼の演技は生きたと思うのですが…競技って難しいですね。

> また、女子3位のカロリナ・コストナー(イタリア)は、「音楽の解釈」で9.61点と、男女全選手のなかで最高点をマークした。<

「ボレロ」は同じリズムが延々と繰り返されていくうちに楽器が重層的に積み上がってゆく曲で、その盛り上がりをスケートの演技で表現するのはとても難しい、彼女でなければできなかったと何かで読みましたが、振り付けの細かいところに工夫があり、まったくダレることなく飽きさせず、最後まで目の離せなくなる演技でした。

「ボレロ」も良かったんですが、私はショートの「アヴェ・マリア」が良かったです。3Lo(トリプルループ)では美しさのあまり、思わず溜息が出ました。

とにかく彼女の演技は上背があるせいもあるけど見栄えがして、スケーティングが惚れ惚れするほどうまくってたまりません。

> いずれにしても5項目すべてに共通するのは「ムーブメント(動作)」であること。身体芸術であるフィギュアスケートは、一瞬一瞬の動きのなかに感動が隠れている。<

こうやって見ていると、PCSは5項目に分けて点数を落とし込んではいるけれど、要素も含めたプログラム全体を見て評価しているんだってことがわかります。TESで要素を評価するから、ついついPCSはそれ以外の技術を見ていると考えがちですが、全部の技術が組み合わさって一つのプログラムになるんですものね。※あくまで私見です。


スケートはムーブメントで表す身体芸術。これからも一瞬一瞬の動きの中にある感動を、ひとつたりとも見逃さずに楽しみたいと思います(´▽`*)


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[ 2014/03/23 ] フィギュアスケート資料室 | TB(-) | CM(0)

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