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「慰安婦問題」、おすすめの記事ふたつ

橋下市長の発言が問題になる前から、気になってはいたものの、なかなか調べることのできなかった「慰安婦問題」。

私は、「慰安婦は売春婦だ」「国家による強制があったという証拠がなかったんだから日本に責任はない」と主張する右寄りの人たちにも、「日本は加害者なんだからとことん謝罪すべきだ」と主張する左寄りの人たちにも共感することができず、モヤモヤする日々を過ごしていたのだが、ようやくスッキリできる記事を見つけた。

それがこれ。ジャーナリストの江川紹子氏が2013年5月25日に書いた、
「日本が誇るべきこと、省みること、そして内外に伝えるべきこと~「慰安婦」問題の理解のために」

「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)の理事だった大沼保昭氏の著書からの引用と本人へのインタビューから成っている。

「アジア女性基金」は6億円もの寄付を国民から集め、慰安婦の半数に償い金を渡すことができた。

総理大臣直筆の署名が入った、心のこもった文面の謝罪の手紙に感激して涙する慰安婦も多かったという。

基金そのものの内容も、よく比較されるドイツの「記憶・責任・未来基金」より、ずっと被害者側に寄り添ったものだった。

そんな評価されるべき内容であったにも関わらず、この事業はしばしば失敗とみなされているという。それはなぜか。

大沼氏が挙げた原因が実に興味深い。(青字部分は記事より引用。)

<韓国世論を変える努力をまったくといっていいほど払わなかった日本政府の消極姿勢。(中略)

強硬なNGOの説得に動こうとしなかった韓国政府の無為。

元「慰安婦」を「売春婦」「公娼」呼ばわりして韓国側の強い反発を招いた日本の一部の政治家や「論客」と右派メディア。

みずからが信ずる「正義」の追及を優先させて、ときに元「慰安婦」個々人の願いと懸け離れた行動をとった韓国と日本のNGO。

強固な反日ナショナリズムの下で一面的な「慰安婦」像と国家補償論を報じ続け、多くの元「慰安婦」の素朴な願いを社会的権力として抑圧した韓国メディア。

そうした過剰なナショナリズムをただそうとしなかった多くの韓国知識人。

韓国側の頑な償い拒否に、被害者を心理的に抑圧する独善的要素があることを批判しようとしなかった日本の「左派」や「リベラル」な知識人とメディア。

これらさまざまな要因が相俟って、韓国における元「慰安婦」への償いに不十分な結果をもたらしたのである〉


これを読むと保守もリベラルもどっちもどっちなのだが、ごく一般的な国民の感情として、私は韓国に対して怒りを感じる。

どんだけ謝ればいいんだ、と。

そもそも、許すつもりなんてないやろ、と。

慰安婦問題だけに関わらず、植民地支配に対して日本が行った謝罪や莫大な賠償や技術提供をほとんど韓国国民に知らせず、反日教育を続けている自分たちの姿勢はどうなんだ、と。

そして、頑なでアンフェアな韓国側の態度には目をつぶり、怒りとうんざりした気持ちを感じている多くの国民の気持ちを慮ることなく、「加害者としての自覚」だの、「歴史を直視して」だのと、相も変わらず不毛な建前論を繰り返している日本のリベラルにも腹が立つ。

私は原発事故後もなお、黒を白と言いくるめる原発ゴリ押しの読売新聞の論調に嫌気がさして、20年以上購読していたのをやめて朝日新聞に変えたのだが、今度は青臭いリベラルの建前論にイライラするようになった。

朝日新聞は反日だとネットでよく叩かれているが、反日というより彼らは「弱者の味方」を気取るあまり頭でっかちになっているのだ。自らの信じる「正義」を貫くためには国益に反することもいとわない。その姿勢が反日と映るのではないか。

ただ、障害者、子供、女性、高齢者、性的マイノリティ、在日外国人といった「弱者」は精神的マッチョな社会では「足手まといはすっこんでろ」「俺(強者)の意に染まぬやつは認めん」と権利を侵害され、切り捨てられてしまう。

今ちょうどネット空間ではそういう空気が濃くなって、イヤ~な感じなので、朝日新聞が「弱者」の声を聞き、守ろうとする姿勢は頼りになると思う。

しかし、何度も言うように、彼らは建前に固執するあまり、実態がどうであるかや人の心の機微といったものが見えていない。

慰安婦問題にしても、上に書いたようなフツーの国民の気持ちを全然顧みず、きれいごとしか言わないから、結局問題の解決には結びつかないどころか、かえって韓国に対して国民の反発がエスカレートしてしまう結果になる。

<そうしているうちに、国民の怒りを、極端で目を背けたくなるような形で語り、行動する人々が代弁するようになりました。本来は正当な怒りが、薄汚い、偏見に充ち満ちた言葉で発信されてしまうようになってしまいました。>

日韓双方の政府とメディア、NGOの無為無策が今日の泥仕合を産んだ。今からでも遅くない。日本の政府とメディアは、大沼氏が以下のように中国、韓国の講演で言い続けてきたことを今度は自分たちがしっかりと伝えていかなきゃいけない。

<「日本はかつて侵略をし、植民地支配を行った。当時の価値観からすると、悪いことをしている認識はなかっただろうが、今日見れば、それは大変悪いことだった。日本は罪を犯した。

それを反省し、贖罪の意味を込めて、多額の経済援助、技術支援を行ってきた。その結果、東アジアの安定と平和がある。これは、(ヨーロッパが支配していた)アフリカと比べて見れば分かるはずだ。

日本人も神様ではない。あなた方と同じ俗人だ。だから、いくら努力してもまったく評価をされず、非難ばかりでは、疲れてしまうんだ」>



続いて、このページは神戸大学の木村幹教授の記事。
「ガラパゴス化」する慰安婦論争 ―― なぜに日本の議論は受入れられないか
木村幹 / 比較政治学 2013年6月7日


韓国で「慰安婦問題」が最初は「女性の人権問題」として、次に国内のイデオロギーの波に乗って「強制連行」の問題として、そして今ふたたび「女性の人権問題」として扱われ方が変遷してきたその歴史。

そして、「慰安婦問題」を韓国は現代に通じる普遍的な「女性の人権問題」として国際社会にアピールすることに成功しているのに対し、日本はいつまでも「強制であったか否か」という過去の歴史的事実の認識として議論をしており、日本の論争だけが「ガラパゴス化」している。こんなんでは国際社会で孤立してしまうぞ、過去の過ちと現在の立ち位置をドイツやアメリカのようにうまく分離せよという危機感にあふれた記事。

訪米から帰国した大阪府の松井知事が、「いや~、アメリカじゃ橋下市長の慰安婦や風俗利用に関する発言なんて、まったく問題にしてないみたいでしたよ~www」みたいなことを言ってるが、そりゃあんた、そんな汚らわしくて無礼千万な話、話題に上げたくないだけだってばよ。

ってのがよくわかるわ、この記事を読むと。

橋下市長の言葉には、女性の性をモノとして見る意識が隠しようもなく出ていた。だから慰安婦うんぬんを超えて女性からの反発が大きかったのだ。

そして、橋下市長のような考え方をする男性は日本じゃ別に珍しくもないってこと。

世界経済フォーラムの2012年版「男女格差報告」で日本は調査対象となった135カ国中101位。2年前が94位、昨年が98位と年々順位を落としていっている。

この数字に日本での女性の地位が、意識の上でもまだまだ途上国なみだということがよく表れている。

女性は男性が好きに扱っていいモノじゃない。人生を生きる上での対等なパートナーです。

いい加減、人権に対する意識の上でも先進国にならないと、国際社会で孤立してしまうよ。
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[ 2013/06/16 ] オタクなハハの日常 | TB(-) | CM(2)

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[ 2013/06/22 09:50 ] [ 編集 ]

内緒コメさんへ

> 不愉快な気分にさせたならごめんなさい。

いいえ、私の拙い文章にコメントくださってありがとうございます。

この問題はいろんな要素を孕んでいるだけに、論じるのが難しいのですが・・・。

まず、慰安婦という制度やそこで行われたことが、女性の体と尊厳を踏みにじる許し難いものであるということ、これは私も完全に同意します。

同じ女性として許せない。まったくその通りです。私にも娘がいるので、もし同じ目に遭ったら・・・と想像するだにおぞましいです。

個人賠償が妥当な額であったかどうか、そういう問題もあると思いますが、それらをちょっと横に置いておいて・・・。

私が言いたいのは、韓国の国としての姿勢が解決を阻んでいる一番大きな要素なんじゃないの? っていうことなんです。

慰安婦問題だけに限らず、韓国が被害者としての痛みだけを理由に反日教育を行い、日本がいくら「償い」を行っても日本を許さないというのならまだ理解はできます。

ちょうど、殺人事件の遺族が、犯人が刑に服しても、どんなに悔悟の念を抱いても許せないというのが理解できるというのと同じです。

しかし、韓国の場合はそこに打算が入ってくるでしょう? 純粋な被害者としての痛みだけじゃない。
政治的に日本に対して優位に立つために、自国民の政府への不満を日本という「敵」に向けさせてガス抜きするために、また、日本から「償い」名目でいくらでも金を引き出すために。

それらの打算込みで国民に反日教育を施し、政治家や知識人など一部を除いては、戦後日本がどれだけ謝罪し、賠償し、技術の無償提供をやってきたかを国民に知らせない、それはアンフェアな姿勢ではないでしょうか。

大沼氏も言っているように、日本人もいい加減疲れてくるんですよ。どれだけやっても評価されず、非難ばかりされていると。その非難の仕方もずいぶんとひどいやり方です。

それほどに韓国の傷は深いのだなと同情的に見る人もいるでしょうが、多くの日本人はそこまでやらなくたって・・・と理不尽な気持ちに感じると思います。その気持ちは次第に韓国への怒りに転じます。逆ギレかと批判されるかもしれないけど、それが人情です。

韓国に対して勇ましいことをいう政治家や右派知識人に賛同する人がいるのも、そういう気持ちが限界まで達してきたからではないのでしょうか。
そしてこういう状況はお互いにとっていいことではないと思うんですよ。

日本は過去の過ちに対し、これだけの償いをしてきたけどどうですか? それでも怒りや悲しみは収まりませんか? と、韓国政府やメディアは自国民に対して問うべきなんです。そして反日教育をもうやめるべきなんです。

もちろん日本も学校でおざなりになっている近現代の歴史をちゃんと教えるべきですし、大人ももっと知らないと・・・と思います。えらそうに言ってる私もよく知りません。

反日教育に煽られて日本への憎悪を植え付けられている韓国と、韓国との歴史には無関心かネットで得た偏った情報しか知らない日本人。これではまともな関係は築けないでしょう。

お互いいい関係を築こうという未来志向で同じスタートラインに立って初めて、いろんな問題を論じあえるのだと思います。慰安婦への賠償が妥当なのかどうかも、そこから話が始められるのではないでしょうか。
[ 2013/06/22 16:47 ] [ 編集 ]

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