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スピンを楽しもう24 ~見た目OKでも減点や0点になるケース~

レベル取りこぼしの原因探りの前に、ちょっと面白い(と言ったら選手に気の毒か^^;)例を見かけたので、ご紹介します。
気楽に読んでくださいね (^∇^)ノ

【レベル4で見た目が良くてもGOEマイナスの場合】

レベル4を獲り、見た目も良いのにGOEではマイナスされる。

まさかそんなことが!?

あるんです。
こちらの例を見てください。

四大陸選手権 男子SPより
アンドリュー・ドッズ

CSSp4(チェンジフットシットスピン)足換えのある、シットだけのスピン

https://www.youtube.com/watch?v=YlOFsmwBfhw&feature=youtu.be&t=1m45s

難エントランス(スリーターン連続)①-SF(シットフォワード)②-足換え-SS(シットサイドウェイズ)③+明確な速度の増加④

とても珍しいレベルの獲り方です。その点にもご注目ください。

①②スリーターンの連続からただちにスピンに入り、SF(フリーレッグを前にした難ポジション)で2回転。「難しい入り方をしてただちに基本姿勢で2回転」と「難ポジションで2回転」を同時にクリアし、レベルを2つ獲ることができました。

ad1←スリーターン連続からの難しいエントランス
ad2←SF

足換え。

③フリーレッグを横に置いたSSという難ポジションで2回転。

ad3

④その姿勢で明確な回転速度の増加を行います。見た目にはっきりわかるほどスピードを上げて行くということです。
最初は上の画像のように大きくフリーレッグを横に広げる形で回り、その後、体の軸近くまで引き寄せることで、遠心力を利用して速度を上げているわけです。
シットでこの特徴でレベルを獲る例はとても珍しいです。

ad4


ちゃんとレベルは4つ獲れているし、よくコントロールされたスピンなのですが、GOEはマイナスです。

なんでやねん(>ω<。)

プロトコルを貼ってみます(13位)。
http://www.isuresults.com/results/season1516/fc2016/fc2016_Men_SP_Scores.pdf

score

GOE部分を拡大したのがこちら。

score2

+1をつけているジャッジが1人、-1が4人、-2が1人、あとの3人は可もなく不可もなくの0で、最終的なGOEは-0.17です。
減点されるような悪い点は見当たらなかったのに、なぜこんな評価になったのでしょうか。

答は最小回転数にあります。

テクニカルパネルハンドブックを見てみましょう。→http://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/2015hb_single_08-16j.pdf

P9にSPのルールが載っていますが、必要な3つのスピンの説明の下に、このような一文があります。


スピンは要求される最小回転数を回らなければならない:(略)足換えスピンおよびスピン・コンビネーションでは各足6回転であり、この回転数に不足する場合はジャッジにより採点に反映されなければならない


このスピンはCSSp(足換えのある、シットだけのスピン)なので、足換えの前後に6回転ずつしないといけないんですね。

まず難エントランスからスピンを始めますが、最初のSFでは3回転しかしていません(腿が氷面に平行になるくらいまで腰の位置を落としたシット姿勢を取ってからカウントし始めます)。それから足換えをしているので、足換え前に6回転ないのです。

足換え後は6回転してますが、各足6回転という要件は満たしていないわけです。

Jスポーツ4で解説の岡部由起子さんもおっしゃっていました。
「選手たちがレベルを獲ることに一生懸命で、ショートプログラムの場合、足換え前後に6回転ずつ必要なのに忘れてしまうケースがある。そうするとマイナスのGOEがつくので非常にもったいない」


上のルールで「この回転数に不足する場合はジャッジにより採点に反映されなければならない」とあるように、レベル特徴の要件さえ満たしていれば、テクニカルはレベル認定をするけど、GOEでどう評価するかはジャッジの裁量に任せるよということなんです。

GOEの付け方のガイドラインはコミュニケーションのP12に載っています。→http://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/comm1944j.pdf
それによると、

最終のGOEを計算するためには、まず初めに要素のプラス面を考慮し、これがGOE評価の起点となる。次に、ジャッジはあり得るエラーのガイドラインに従ってGOEを引き下げ、その結果が最終のGOEとなる。

こうも書かれています。

重要なことは、要素の最終のGOEに、エラーによる引き下げだけではなくプラス面が反映されていることである。

要は、エラーがあれば減点するけど、プラス面を積極的に評価するよという意味なのでしょう。

もう一度、ジャッジがつけた個別のGOEを見てみましょう。

左から、0 1 -1 -1 -1 -2 -1 0 0

コミュニケーションP14のエラーに対するGOEのガイドラインによると、「必須回転数に満たない」-1~-2です。

では、もしエラーがなかったら、何点になるはずだったのでしょうか。
減点しても+1のジャッジの場合は、元はプラス面が大きかったということですね。
逆に-2のジャッジは、元々あまり評価が高くなかったということになります。

P12の+GOEのガイドラインを見てみると、

1)スピン中の回転速度あるいは回転速度の増加が十分
2)すばやくスピンの軸をとることができる
×3)全ての姿勢でのバランスのとれた回転数
×4)規定回転数を明らかに超えた回転
 5)良い、力強い姿勢
 6)独創的でオリジナリティがある
 7)全局面でのコントロールが十分
8)音楽構造に要素が合っている

これらのうち、回転数に関する3)4)は当てはまらないので×をつけてみました。
それ以外の6項目はジャッジの評価によって全て当てはまる可能性があるわけです。

「明確な回転速度の増加」でレベルを獲れているということは、「1)スピン中の回転速度あるいは回転速度の増加が十分」は当てはまりそうなので○をつけてみました。
あとは姿勢変更がスムーズなことから「2)すばやくスピンの軸をとることができる」、音楽のテンポと回転速度を合わせているところから「8)音楽構造に要素が合っている」も当てはまるような気がします。こちらははっきりしないので△にします。

一般的に、
2項目当てはまれば+1、4項目当てはまれば+2、6項目当てはまれば+3
をつけることが推奨されています。

もし当てはまるのが○をつけた1項目しかないとすると、起点となるGOEは0かなあ。
そこからエラー分を引くと、最終的に-1または-2になりますね。

○だけでなく△をつけた項目も当てはまるとすると、3項目だからGOE+1かなあ。
そこからエラー分を引くと、0または-1。

あ、なんか実際のジャッジがつけた個別GOEの、0 1 -1 -1 -1 -2 -1 0 0 に何となく合致するような気がしますね。


…というふうにして遊ぶこともできるわけです(合ってるかどうかはわからない)(ノ´∀`*)



*****


ついでに、足換えのあるスピンの回転数についてですが、テクニカルパネルハンドブックP8によると、

いかなるスピンにおける足換えにも、足換え前後にスピン姿勢が少なくとも3回転なければならない。

とあります。

ただこれは、やらなければどうなるかということは書かれていないんですよね。
こういうケースは見たことがないのでわからないのですが、もしかしたら、足換えスピンだとは認めないということになるのかな?
たとえばCSSp4の基礎点は3.00ですが、SSp4、つまり足換えのないただのシットスピンだと2.50です。

ただし、ショート・プログラムの場合は足換えのある単一姿勢のスピンで足換えが認められないと、決められたスピンをやらなかったということで0点になるはずです(違ってたら教えてください)。

うむ、よ~わからん。
また詳しいことがわかったらお知らせしますね。

では次はこの例です。

【見た目そんなに悪くないのに0点になってしまう場合】

これも足換えありの単一姿勢のスピンです。

JGPS(ジュニアグランプリシリーズ) トルン大会 男子FSより
アレクセイ・クラスノジョン

CSSp(足換えのある、シットだけのスピン)
https://www.youtube.com/watch?v=rcXU0_Uy8hE&feature=youtu.be&t=1m31s

プロトコル(3位です)→http://www.isuresults.com/results/season1516/jgppol2015/jgppol2015_JuniorMen_FS_Scores.pdf
500ak_pro
↓(拡大)
600pak_pro

CSSpがノーカンになっちゃってますね。

本来のレベルの予定構成はSF(シットフォワード)①+8回転②→ジャンプ足換え③→SS(シットサイドウェイズ)④
(これは他の大会も見て推測したものです)

まず、フリーレッグを前にした姿勢でシットスピンを始めようとするのですが、腰の位置が高く、シットというよりNBP(非基本姿勢)の状態で回ってしまっています。でも、2回転する前にSFの姿勢に達しているので、NBPとは認定されません(どの姿勢も認定されるには連続した2回転が必要)。

ak1-1

これ、もし2回転きっちり回っていたとしたらどうなるかというと、総回転数にカウントされるだけなんですね。NBPの難ポジションとしてはレベルは獲れません。
テクニカルパネルハンドブックP8の一番下に「単一姿勢のスピン(略):非基本姿勢は許され、規定で要求されている総回転数に数えられるが、(この姿勢では)レベルの特徴は獲得できない。」とあります。NBPでレベルが獲れるのはコンビネーションスピン(基本姿勢が2つ以上あるスピン)の中だけなのです。


ようやく軸足の腿が氷面と平行になるくらいまで腰が落ち、フリーレッグを前にしたSFという難ポジションがとれました。これで2回転以上しているので、レベル①の要件はクリアです。

ak1


②の8回転はできませんでしたね。その後ジャンプにより足換えをしています。ジャンプ足換えは足換え後の足で獲ったレベルになります。

ak2

ですが、着氷後にシット基本形で2回転する前にやめてしまっているので、「ジャンプ前に基本姿勢か非基本姿勢で2回転、着氷後2回転以内に基本姿勢で2回転保持という要件がクリアできていないため、ジャンプ足換えのレベルは獲れません。

ak3


その後、SS(フリーレッグを横にした難ポジション)をしようとしているのですが、腿が氷面と平行になるほど腰が落ちないまま終わってしまい、SSの姿勢を確立して2回転できていないので④のレベル要件がクリアできませんでした。

そればかりか、この前の姿勢も含めて、足換え後にシット姿勢がまったくとれなかったということになります。

ak4


これはテクニカルパネルハンドブックP18「足換えありの単一姿勢のスピン:一方の足が基本姿勢で2回転に満たない」

ショート・プログラムまたはフリー・スケーティングにおいて、足換えありの単一姿勢のスピンが行われたときに、連続した2回転以上回っている基本姿勢一方の足にあり、連続した2回転以上回っている基本姿勢がもう一方の足にはない場合、そのスピンのレベルは無い(無価値)

に引っかかってしまい、無価値(ノーバリュー)、つまり0点になってしまったのでした。
要は単一姿勢で足換えをやるのなら、その前後できっちりその姿勢が維持できる技術がなきゃ、足換えをやっちゃいけないよということでしょうか。

このルールは2015-2016シーズンに改正されたもので(テクニカルパネルハンドブックに下線が引いてある部分は改正された箇所であることを表す)、知らないと、えっ、なんでノーバリュー!? と混乱すると思います。

どこかで書いた覚えがあるなあと思ったら、「スピンを楽しもう番外編 ~四大陸男子SPよりレベル取りこぼしの原因を探る~」で、0点になったハンヤンのCSSpについて記事に書いてましたが、これも同じケースです。







*****

以上、スピンの勉強になりそうなケースを2つ、ご紹介しました。

難しい! 無理! って思われた方、大丈夫です。
私も、あ~でもないこ~でもないとハンドブックやコミュニケーションを引っ繰り返し、空色羊さんやMonkonさんに「これどう思います?」って聞いたりしてたので (´ー`A;)

さて、前回までで一通り終わったレベル特徴の説明、もっとじっくり詳しくやりたかったんですが…。1つの姿勢だけこれでもかといろんなサンプル画像や動画を貼って、とことん見ていくとか、チェンジエッジ集とか…。時間切れでした。
いったん連載を完結後に不定期でやることもあるかもしれません。マンガのスピンオフみたいに。

では、次こそはレベル取りこぼしの原因探りの記事です。

めざせ! レベルマスター!∩(*・∀・*)∩ファイト♪
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[ 2016/06/05 ] スピンを楽しもう | TB(-) | CM(0)