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スピンのレベル判定に挑戦してみたよ

フィギュアスケートのことを詳しく知りたい! となると、まず取り掛かるのはジャンプの見分けですが、これは下位の選手の演技をたくさん見るのが一番の近道です。

トップスケーターに比べると、ジャンプの入りがシンプルなせいかもしれません。
私はJ Sportsでいくつか大会を見るうちに見分けることができるようになりました(円を描くようなスリーターンから跳んだトウループを「え? サルコウ?」なんてボケをかますこともいまだにあるけど)。


ジャンプの見分けができるようになれば、次に目指すのは何か?


そう、スピンのレベル判定ですよ、奥さん!


これがなかなかハードルが高い。どれくらい高いかというと、アイルージャ~ンプ! くらい高い。 ←すみません。使ってみたかっただけです。

ということで、ツイッターではアシュリー・ワグナー選手の熱いファンとしておなじみの(つけ麺スキーの方がいい?)Monkonさんに、スピンのレベル判定をするにあたってアドバイスをいただきました。

それがこちら。

★プロトコルと動画を見比べて、たとえばレベル4だった場合、何がその4つのレベル要素だったのかを、テクニカルパネルハンドブックの中のレベル要件の中から逆引きして探す。


★選手を問わず、共通して頻繁に使われるポジションやレベル獲得のための技術も多いので、見慣れるとハンドブックを引かなくてもおおよそはわかるようになる。


★チェンジエッジは足元の注視ももちろんだが、回転の挙動がカクッと変わるのを察知するのも良い。キャメルスピンの場合は、選手ごとにチェンジエッジに入るときの動作のようなものが、手など上半身の動きに出る場合が多いのでわかりやすい。
シットスピンやアップライトスピン、あるいはスピンが得意な選手のチェンジエッジはわかりづらいので、足元をよく見ること。


うう、そうは言ってもなかなか難しそう…とビビる私にMonkon師匠は、

「複雑な細かい決まりはありますが、我々は実際に採点するわけじゃないので、その都度ハンドブックを熟読できますし覚える必要はないと思います!ぶっちゃけ、スピンのレベルなんてレベル要素が4つあればレベル4くらいのもんなので、足し算だと思えば良いです!」

と励ましのお言葉を!(´∀`*)

おお、そうなのね。そんならいっちょやったるか!

というわけで、レベル判定に生まれて初めて挑戦してみました!


教材:無良崇人選手 ロンバルディアトロフィー SP「カルメン」より

【参考にしたもの】
テクニカルパネルハンドブック2014/2015版(※PDF注意)
 P5~P13(このうち特にP7レベル特徴、P13~P14のポジション一覧)

★小高あたるさんの「スピン表記の見方とか各種規定、レベル要件などパッと見で分かるようまとめてみた」より、
スピン表記の見方
スピンの難ポジとスピンの難しい姿勢(Difficult Positions: いわゆる難ポジ)。これにNBP(No Basic Position)が加わり11個。説明はてきとーですw


まず一つ目のスピン。
動画はやや見づらいですがこちらを。クリックするとスピンのところから再生されます。
http://t.co/uAv3sYmSiL
Youtubeの再生速度を遅くするには、歯車マーク(赤で囲んだ部分)の速度を0.5や0.25にしてみてください。
速度調整

CCoSp3p4(チェンジフットコンビネーションスピン、含まれる基本姿勢は3つ、レベル4)

私がやったレベル判定。丸数字がレベルです。

C(キャメル基本)→SF(シットフォワード)①→UL(アップライトレイバック)②→足換え→UF(アップライトフォワード)③→SB(シットビハインド)④

①~④すべてDP(難ポジション)でレベル獲得と判断。テクニカルパネルハンドブックP7「レベル特徴」の「1)難しいバリエーション」に当てはまると見ました。
含まれる基本姿勢はC(キャメル)、U(アップライト)、S(シット)の3つです。

ポジションはP13~14を参照し、フリーレッグ(浮いている方の足)がスケーティングレッグ(軸足)に対してどの位置にあるかでフォワード(前)やビハインド(後ろ)などを判断しました。


これに対して、Monkonさんのレベル判定がこちら。

C(キャメル基本)→非基本姿勢①→US(アップライトストレート:クロスフット)②→足換え→UF(アップライトフォワード:A字)③→SB(シットビハインド)④

ありゃ、ちょこちょこ違うぞ(・∀・;)


では、CCoSpの最初から見ていきましょう。Monkonさんにいただいたコメントを【Monkonさんコメント】としてつけました。また私がつけたハンドブックの該当箇所などの注釈は【※】としています。

C(キャメル基本)
CCoSp-C


【ブログ主】SF(シットフォワード)① ・・・しゃがんだ姿勢でフリーレッグが前に伸びているのでSFだと思いました。
【Monkonさん】NBP(非基本姿勢)①

CCoSp-NBP

【Monkonさんコメント】------------
これはSFではなくNBP(非基本姿勢)です。コンビネーションスピンの中で実行される、ルールに定められる基本姿勢に当てはまらない難しいポジションは非基本姿勢に分類されます。

無良くんの場合、このポジションはちょうどUF(アップライトフォワード)とSF(シットフォワード)の間くらいのスケーティングレッグの曲がり具合です。U(アップライト)とS(シット)どちらにも当てはまらないため、非基本姿勢です。

また、同じプログラムの中で同じレベル要素は2度は考慮されない点も注意が必要です。もしこの姿勢が非基本姿勢でなくSF(シットフォワード)なら、3つめのスピンFSSpのSFがノーカウントになってしまうのです。そこから逆算してもNBP(非基本姿勢)がしっくりきますね。
【※1】


【※1】
ハンドブックP7注意書き「基本姿勢での難しいバリエーションは、いずれのカテゴリーもプログラム中で(最初に試みられた)一度のみ数えられる。」を参照。
同P14 NBP(非基本姿勢)より。無良選手のスケーティングレッグの曲がり具合は右端のポジションと似た感じでしょうか?

NBP-handbook

ちなみにP13のSF(シットフォワード)はこんな感じ。膝が深く曲がってお尻が落ちています。
SF-handbook

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【ブログ主】UL(アップライトレイバック)② ・・・立った姿勢で背中を反らせているのでULだと思いました。
【Monkonさん】US(アップライトストレート)②

CCoSp-US

【Monkonさんコメント】------------
自然に考えるとここはUS(アップライトストレート)のクロスフットスピンです。UL(アップライトレイバック)とコールされるには、ハンドブックの写真にあるようなヘアカッターやキャッチフットがほぼ必須かと思います。
【※2】


【※2】
P14より UL(アップライトレイバック)
ヘアカッター(左端:フリーレッグを頭の近くに引き寄せる)。キャッチフット(右端:フリーレッグのブレードをつかむ)。
UL-handbook


高橋選手はよくレイバック様のポジション(過去にはフライングレイバックスピン)を実施しますが、あのくらいで「レイバック基本姿勢」と認定されるか、「アップライト基本姿勢」にされるかのボーダーラインくらいだと言うと少しイメージが沸くでしょうか。

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(足換え)右から左へ

UF(アップライトフォワード)③・・・UFのA字スピンです。DP(難ポジション)でレベル獲得。
CCoSp-UF

SB(シットビハインド)④・・・DP(難ポジション)でレベル獲得。
CCoSp-SB



足換え以降はMonkonさんの判定と同じでしたヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪


【Monkonさんコメント】------------
UF(アップライトフォワード)はスケーティングレッグがまっすぐに伸びた状態で上半身が前に倒れている(フォワード)ポジション。
US(アップライトストレート)はスケーティングレッグも上半身もまっすぐに立っている(ストレート)ポジションです。
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次は2つ目。
動画はこちら。
http://t.co/iPzefUmC4B

CCSp3(チェンジフットキャメルスピン、レベル3)

私がやったレベル判定。丸数字がレベルです。

C(キャメル基本)→ジャンプ足換え①→CS(キャメルサイドウェイズ)②
②はDP(難ポジション)でレベル獲得と判断。あと一つのレベル要素がわかりません。


Monkonさんのレベル判定。

C(キャメル基本)→チェンジエッジ①(+CS(キャメルサイドウェイズ)認定されず?)→ジャンプ足換え②→CF(キャメルフォワード)③


おお、これもだいぶ違うぞ(^_^;)


ではCCSpの最初から見ていきましょう。

C(キャメル基本)
CCSp-C



【ブログ主】ジャンプ足換え①→CS(キャメルサイドウェイズ)②
【Monkonさん】チェンジエッジ①(+CS(キャメルサイドウェイズ)認定されず?)→ジャンプ足換え②→CF(キャメルフォワード)③

(CS(キャメルサイドウェイズ)認定されず?)
※肩をひねるような動きがチェンジエッジ直前の3回転で見られます。
CCSp-C2

チェンジエッジ①(かかと方向へ回っていたのがつま先方向へと変化)
CCSp-C-CE
CCSp-C-CE2

【Monkonさんコメント】------------
変形後のポジションはおそらくCS(キャメルサイドウェイズ)狙いですが、肩のラインが認定基準に達していないと判定されたのではと推測します。

これはポジションそのものを見て分かったというよりも、前のチェンジエッジ、後ろのジャンプ足換えとCF(キャメルフォワード)が明確に行われているため、レベル4にしたかったのに出来なかったと考えた中で、逆算して最も取りこぼしてしまいそうな箇所だからです。

また、ナンソン選手が類似のCS+チェンジエッジを試行してレベル4を得ているためです。
http://t.co/vIJaLiieC7
ナンソン選手はこのスピンで「キャメル基本→CS①+チェンジエッジ②→ジャンプ足変え③→シット基本→US(クロスフット)④」でレベル4を取っています。ドーナツでないCSでレベルを得るにはこの水準の明確なポジションが必要です。

無良選手のキャメル基本に続くチェンジエッジを伴う変化は、ナンソン選手が行ったCSの技術に非常に似ていると思いますが、いかがでしょうか・・・。正解かどうかは選手自身とテクニカルスペシャリストにしかわかりませんが・・・。

チェンジエッジの瞬間はカメラワーク最悪なので分かりにくいかと思いますが、キャメル基本からポジションを変えると同時にしています。チェンジエッジの見分けは慣れが必要ですが、インかアウトかというよりもスケートの進行方向が後ろから前に変化するパターンがほとんどなので、それを意識すれば感じやすいです。

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ジャンプ足換え②
CCSp-C-J



CF(キャメルフォワード)③
CCSp-CF

【Monkonさんコメント】------------
れんかさんがCS(キャメルサイドウェイズ)と予想されたポジションですが、おそらくドーナツスピン的なポジションだったからですよね?

しかし、あくまで位置より肩のラインに注目しましょう。
CSと認定されるポジションは、羽生選手やリプニツカヤ選手を見ると良いでしょう。

肩のラインが完全に横に倒れて寝そべっているような上体のはずです。一方、無良選手のポジションは肩のラインが氷にほぼ平行で、前を向いているような上体の形です。そのため、フォワードと認定されます。

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最後のスピン。
http://t.co/shZgS3dPrX

FSSp3(フライングシットスピン、レベル3)

私がやった判定。丸数字がレベルです。

フライング入り→SF(シットフォワード)①+8回転②→SS(シットサイドウェイズ)③
今季から単純なフライングエントランスはレベル認定されないと勘違いしていました。③はDP(難ポジション)での判定。


Monkonさんの判定。

難しいフライングエントランス①→SF(シットフォワード)②+8回転③→(SS(シットサイドウェイズ認定されず?))



ではFSSpの最初から。

難しいフライングエントランス①
FSSp-F


【Monkonさんコメント】------------
見逃したくないのはフライングエントランスです(フライングエントランスは細かい規定がついて、満たせないと基礎点が減るなど厳しくなりましたが、レベル特徴の一つとして残っていますね)。

無良選手はジャンプの踏切り足と逆足で着氷してスピン体制に入っており、これは難しいフライングエントランスの一つとカウントされます。

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SF(シットフォワード)②
8回転③

【※3】

FSSp-SF

【※3】
①はハンドブックP7「レベル特徴」より「1)難しいバリエーション(下記の制限内であれば行われるごとに数える)」に該当。
②は同「10)姿勢/バリエーション、足、エッジを変更せずに少なくとも8回転(キャメル、レイバック、基本姿勢の難しいバリエーション、非基本姿勢の難しいバリエーション(スピン・コンビネーションのみ))」に該当。


【Monkonさんコメント】------------
フライングエントランス、SF(シットフォワード)、8回転はしっかり実施されているので、認められなかったと予想できるのはSS(シットサイドウェイズ)です。【※4】
ポジションを取ったときにスケーティングレッグ上部が少し高くなってしまい、氷と平行でなくなってしまった為だと思います。
他の選手のレベル4のシットスピンなどで、良いSSポジションを見ると、経験則で感じ取れるかもしれません。

FSSp-S


【※4】
P13よりSS(シットサイドウェイズ)。かなりスケーティングレッグを曲げてお尻を落とさないと認定されないようです。
SS-handbook

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以上で無良選手のロンバルディアにおける演技のスピンレベル判定は終わりです。



≪ MEMO ≫------------------
一つ目のスピンCCoSpで話題に上がったレイバックスピンについてのMonkonさんのお話。

【Monkonさん】
高橋選手は男子には珍しくLSp4(レイバックスピンでレベル4)を取ったことのある選手です。
http://t.co/7oZCquF0WO


レベル判定はサイドウェイズリーニング→レイバック基本(サイドウェイズリーニングからレイバック姿勢へ移行で各3回転以上①)+8回転②+回転速度アップ③+チェンジエッジ④です。
【※5】

レベル4ですが、柔軟性を要するUL(アップライトレイバック)のポジションは使わないで、回転とエッジのコントロールだけで稼いでいます。

【※5】
一つ目のレベル特徴「サイドウェイズリーニングからレイバック姿勢へ移行で各3回転以上」は、P7レベル特徴「レイバック・スピンに対する追加的な特徴項目」の「12)バックからサイドまたはその反対への1回の明確な姿勢変更。それぞれの姿勢で少なくとも3回転ずつ」を参照。


三つ目のレベル特徴「回転速度アップ」については、「明らかな」回転速度の増加が必要です(数値的な規定などはないです)。また、同じポジションの中でのスピードアップか、C(キャメル)基本→CS(キャメルサイドウェイズ)など同じ基本姿勢の中で異なるバリエーションに変化するときにスピードアップした場合にだけカウントされます。

正直、この高橋選手のレイバックが「明らかなスピードアップ」かはボーダーラインレベルだと思います。テクニカルパネルの顔ぶれによっては認定されないでしょう。

レイバックはレベルの稼ぎ方が限られているので、UL(アップライトレイバック)もビールマンも使わないならば、サイド→バックは必ず使うとして、チェンジエッジ・回転速度増加・8回転・難しいエントランスのうち3つを使わないとレベル4を取れません。

しかも、難しいエントランスは実質今シーズンからの新ルールのようなものなので、2013ワールドで高橋選手がLSp4を取るには回転速度の増加以外を使うしか方法がないのです。

ヴィクトリア・ヘルゲソン選手はこの高橋選手と同じLSpの構成でもっと鮮やかにレベル4を取っています。このレベルなら間違いなく回転速度アップが認定されます。
http://t.co/sNOScbU96j



男子でULでレベルを取る選手としては、リッポンやブラウンがいますね。
リッポン→http://t.co/pU1GfxJsNV
ブラウン→http://t.co/ykj0hfLd9R


ブラウンのCCoSpは、NBP(非基本姿勢)①→US(アップライトストレート:Y字)②→足換え→C(キャメル)基本→UL(アップライトレイバック)③→S(シット)基本(足換え後に基本姿勢3種④)です。
【※6】

ブラウンくらいスピンが得手な選手になると、レベルだけでなくこうしたらGOEが取れるというところにも気を配るようになるので、ポジションチェンジも美しさや音楽との調和を考えて装飾的になることが多いです。

C(キャメル)基本からUL(アップライトレイバック)への変形も、一瞬CF(キャメルフォワード)のような姿勢を取ってから変化する、など非常に見栄えにコダワリを感じます。


【※6】
4つ目のレベル特徴「足換え後に基本姿勢3種」はP7レベル特徴「7)(1回目の)足換え後の足で3基本姿勢すべてを行う」参照。

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Monkonさん、飲み込みの遅い私に辛抱強く付き合って、丁寧に教えていただき、ありがとうございました。
そして、無良選手、教材に使わせていただき、ありがとうございました。


【レベル判定に挑戦してみて】

想像していたよりはハードルは高くなかったなと思いました。ちょっとは合っていたので…。

でも、ポジションが一致するかだけ見ていてはいけないのですね。
スケーティングレッグの高さや肩のラインがちゃんと要件を満たしているかどうかなど、きっちり見て判断しなければいけないんだということがよくわかりました。

もっといろんな演技を見て、見る目を養わないと~!

とはいえ、Monkonさんもおっしゃっていたように、私たちはなにもジャッジングをするわけじゃなし、わからなければいつでもハンドブックを開いて考えることができます。

クイズ感覚で、このスピンはレベル4だからどの要件に合致するのかな? などとハンドブックを開いてみるのも楽しいのでは。そうして慣れてくれば、レベルが取れなかった場合の原因究明もできるようになるかも。

とにかく、あまり難しく考えずにやってみたらすっごく面白かった! です(v´∀`*)

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[ 2014/10/09 ] スピンを楽しもう | TB(-) | CM(19)