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忘れないよ

東日本大震災から明日で半年。

忘れられない被災者の話。

一人は3月31日付の読売新聞に載った女の子。

まなみちゃん

「ままへ。いきてるといいね おげんきですか」

ママへのお手紙をたどたどしい字で1時間近くかけてノートに書いた昆 愛海(こん まなみ)ちゃん(4歳)は、ノートに顔を伏せてすやすやと寝入ってしまった。

あの日、愛海ちゃんは保育園で地震に遭い、迎えに来た母親と自宅へ戻った。
自宅は岩手県宮古市の入り江を望む高台にある。
そこにいれば安全なはずだった。

だが、30メートルを超える津波が襲いかかり、両親と2歳の妹は引き波にさらわれてしまった。
愛海ちゃんは背負っていた通園リュックが漁に使う網に引っ掛かり、助かった。

愛海という名前は漁師だった父親がつけてくれたもの。

愛する海。すべての生命の源である海。家族が生計を立てるための恵みをもたらしてくれる海。

その海が牙をむいた。

祖母が迎えにきても、愛海ちゃんはママの帰りを待っている。
父の残した携帯を握りしめ、高台から入り江を見下ろすその背中は、あまりに小さい。


ノートに顔を伏せて眠る写真を見た瞬間、どっと涙があふれた。

すごくインパクトのある写真で、この1枚があればもう言葉はいらない。
大好きなお母さんや家族と引き裂かれた子供の悲しみ、不安、会いたいと苦しいまでに願う気持ち。
被写体の持つメッセージがダイレクトに伝わってくる。

実際、大きな反響を呼んだようで、読者の投稿欄でも投書があったし、俳句でも投句されていた。

すると、愛海ちゃんのその後が気になる読者のために、5月10日付の同紙で続報があった。
ちょうどこの日、5歳の誕生日を迎えるという。

まなみちゃん2

ノートに書いたママとパパへの手紙。

ママの写真を見て、「ママ、かわいいね」と微笑む顔。

4月に3歳の誕生日を迎えた、いまだ行方不明の妹のために、ケーキにろうそくを立ててお祝いをしている写真。

青空保育で友達と遊ぶ姿。

包丁を握り、器用にキャベツを刻む横顔。

元気そうな笑顔にほっとすると同時に、「いい子にしていればみんな帰ってくると信じているという」の文面に、また涙してしまう。


そして、もう一人は5月23日付の同紙「人生案内」という人生相談コーナーに載った女子大生。

こちらは顔も名前も住所もわからない。「A子」とだけあるのは、おそらく無記名だったのを便宜上名づけたものだろう。

彼女はあの日、祖母と一緒に逃げた。

でも祖母は坂道の途中で「これ以上走れない」と座り込んでしまう。

彼女は祖母を背負おうとしたが、祖母は頑としてそれを拒み、彼女に先に行けと怒った。
彼女は謝りながら一人で逃げた。

そして3日後。
祖母は別れた場所からずっと離れた場所で遺体で発見された。

気品があって優しかった祖母は彼女の憧れだった。
でもその最期は、体育館で魚市場の魚のように転がされ、人間としての尊厳などどこにもない姿だった。

助けられたはずの祖母を見殺しにした自分。
一人だけ逃げて助かってしまった自分。
そんな自分を一生呪って生きていくしかないのだろうか。

「どうすれば償えますか。毎日とても苦しくて涙が出ます。助けてください」という言葉で結ばれている。


これも、読んでいて涙が止まらなくなった。

償う? なぜ?
なぜこの心優しい女の子が償わなければならないんだろう。
なぜ祖母を大切に思い、背負ってまで逃げようとした彼女がここまで苦しまなくてはならないんだろう。

どうしようもなかったんだから…と言ってしまうのも乱暴で、ただただ、おばあさまはあなたをそれほど大切に思っていたんだね、自分の命を捨ててでも生きてほしいと願うほど愛していたんだね、どうか苦しまないで、苦しまないで…そう祈らずにはいられない。

回答者の心療内科の女医さんも同じ気持ちだったようで、誠心誠意、言葉を尽くして回答されていた。

おそらくは、愛海ちゃんやA子さんのような思いをした人は犠牲者の数だけいたのだろう。

忘れちゃいけない。
そう思って、この記事を切り抜いて日記に貼った。

この相談も読者の反響を呼んで、投稿欄にA子さんのことを気遣う投書が投稿されていた。


震災から半年。
なんだかんだ言っても、最初のころの衝撃が薄れていって、被災地のことを考える時間が減っていってる今日この頃。
半年とか1年とか、区切りごとに思い出したように考えるようじゃいけないんだ。

だってまだ復興にも取り掛かっていないんだもの。
震災はまだ現在進行形なんだもの。

忘れちゃいけない。
絶対に忘れちゃいけないことなんだ。


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[ 2011/09/10 ] オタクなハハの日常 | TB(-) | CM(0)