2010 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312010 09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

終戦ネタもうひとつ

去年までは戦争のことを考えるのがしんどくて目をそらしてきたけど、今年はたまたま原爆の追悼式典を見たのがきっかけで、戦争関連のドラマやドキュメンタリーをちょこちょこ見た。

NHKの「色つきの悪夢」は、第二次世界大戦の記録フィルムに彩色して、よりリアルに戦争を体感させようという試みのドキュメンタリー。若い世代にこそ見てほしいということで、20代~30代のタレントや俳優を出演させて感想を言わせていた。

ショッキングな映像もあると前もって断りがあったので覚悟を決めて見たのだが、死体も映ったものの気分が悪くなるほどではなかったのでホッとした。

出演者たちは口々に感想を述べ合うのだが、いかんせん幼い。何も知らない。まあ今どきの若者代表という等身大なところが視聴者にアピールするのかも。
ただひとり、斉藤工だけがしっかりした意見を述べていた。

「戦争はイヤだということを思い続けていこうと思った」というようなことを男性俳優が言っていたが、戦争はイヤだとか悪いことだとか二度と繰り返してはいけないとか言ってるだけじゃ弱いってことをまず知っといたほうがいい。誰だって戦争はイヤなもんだ。イヤなことなのになぜ引きずり込まれていったのか、二度と繰り返さないためには何が必要かということまで考えなきゃ、平和ボケと言われたってしょうがない。

偉そうに言ってるけど私だって無知だし、いざという時にどうすればいいのかもわからない。ただ、最近増えてきた右寄りの人たちはずいぶんと威勢のいいことを言っているが、まさか戦争になったら自衛隊が行ってくれるから自分は行かなくていいとか思ってないだろうね? 一般市民が行くにしても、自分は歳だから徴兵に取られることはない、行くんなら若いやつらだと思って、無責任なことを言い散らしてる中高年右翼とかいないだろうね?
いざとなったら自分が率先して国を守るために死んでくるんだと覚悟を決めているなら、威勢のいいことを言ってたって認めてやるよ。

…というようなことを改めて思ったさ。

そして、倉本 聰のドラマ「歸國」を見た。

ストーリー(Wikipediaより)
8月15日深夜、東京駅にダイヤにはない一台の軍用列車がやってきた。そこには60余年前に南海で散った英霊たちがいた。彼らの使命は、平和になった日本の現状を南海の海に眠っている戦死者たちに伝えること。彼らは夜明けまでのわずかな時間に、今の日本に何を見るのか……。

大学の野球部だった塚本高史が神宮球場へ向かったり、音楽学生だった小栗旬が恋人の堀北真希(晩年は八千草薫)に会いに行ったり、美学生の向井理が妻を描いた未完成の絵画が展示されている場所へ行ったり、ビートたけしが植物状態の妹が入院する病室へ行ったりと、それぞれの英霊たちの行動を追っているんだけども、そこに首吊り自殺した検閲係のARATAが加わっては、突如として検閲で没収した英霊たちの手紙をしゃがれ声で(首吊ったから声が出ないのか?)暗誦したり、現代日本の様子を解説する役の生瀬勝久がいたりと、めまぐるしく登場人物が入れ替わり立ち替わり画面に現れては消える・・・の繰り返しなので、感情移入しているひまがなかった。

倉本 聰だから面白いはずなのに、なんか微妙な展開だなと思っているうちに、回想シーンの中で向井理が妻のヌードを描いていると、妻が「もう絵はやめて」と訴え、裸の妻を向井が床に押し倒してキスするというのがあり、回想から現代のシーンに戻ると、向井が妻にあてたものの没収された手紙をARATAが暗誦し始めた。

「目の前で自分の書いた手紙を暗誦されるのって恥ずかしいよなあ」とダンナと言い合いながら見ていると、案の定、「絵を描くはずが、君への想いが突き上げてきて・・・」という、あの押し倒しシーンのことを言っているくだりで向井が「やめろ!!」と叫んでさえぎったので、「そりゃ恥ずかしいわなあ」と思わず爆笑してしまった。
第一、検閲されるとわかってるのにそんなこと書かんやろ。百歩譲ってそういうのもありにしても、ARATAにみんなの手紙を果てしなく暗誦させることって必要なのかな。

最悪だったのがビートたけしのエピソード。植物状態の妹には一人息子の石坂浩二がいて、これが政界にも影響を持つ経済アナリストで、資産家の娘と結婚して安泰に暮らしている。寝たきりの母親にはほとんど会いに来ず、延命のための金だけを出している。

機械につながれて生かされているだけの妹を人間らしく死なせてやりたいと願うビートたけし。だが霊となった彼にはどうすることもできない。そこへ妹の意識があった頃に仲が良かったという隣の病室の女の子がやってくる。彼女は、もし自分が寝たきりになったら人工呼吸器のスイッチを切ってほしいと言っていたたけしの妹との約束を果たすために来たのだった。

スイッチが切られ、妹は息を引き取る。妹の息子、つまり甥の仕事場へ来たビートたけしは、甥が苦労して育ててくれた母親の死にも動じず、ケータイメールで冷たく家族に葬式の指示を出す姿に激昂し、軍刀で甥を突き殺してしまう。

えええええ!? てなもんですよ。なんで幽霊が人を殺せるの? しかも日本軍の軍刀って、それをそのまま死体に刺したままってまずいんでないかい?

死体が発見され、警察やマスコミが押しかけて大騒ぎになってしまう。そりゃそうだわな。警察もさぞかし凶器の出所に頭を痛めることだろう。しかもこれ迷宮入りだもんな。

やっちまった感がみなぎる画面をあぜんとして見続けていると、さらに度肝を抜く展開が。靖国神社の前にいるたけしの元に、殺された甥の石坂浩二の霊が現れ、「僕はどこで間違ってしまったのでしょうか」と問う。

いや、なんかそれヘンだし。間違ってるのは怒りに任せて殺したあなたの伯父さんでしょうよ。なんで謙虚に自分の犯した間違いを反省してるのかな。「殺さなくてもいいだろ」ってまず怒るべきだろ。

しかも、「おまえは殴られたことはあるか?」とたけしが訊き、石坂が「ありません」と答えると、たけしが石坂を殴る。倒れた石坂に馬乗りになって、さらにボコボコにするたけし。

おーい、おかしいだろ。
なんで暴力で解決? 殴れば甥の精神が鍛えられるとか、人としての優しさを取り戻せるとでもいうのか? 乱暴な論理だな。懲らしめのための殺人や愛の鞭としての暴力を認めているところでもうこのドラマはおかしい。

おかしいのはこれだけじゃない。そこへあの世から妹の声が響いてくる。「ありがとう」
えええええ!? なんで? なんで自分の愛息子を殺されたのに兄に礼を言ってるの?

もうわけわからん。頭が沸騰してるとしか思えん。

とどめがラストの東京駅ホームでの長渕剛の演説。日本人の生活は豊かになったんじゃない。便利になっただけだ、と。便利になるということは横着になることだ、と。

そりゃわかりますよ。物質的な豊かさばかりを求め続けた結果、今の日本人の精神が荒んでしまったっていうのは。だけど、そういうことってさんざん今まで言われてきたことだよね。なにを今さらって感じがする。手垢のついた言葉をストレートに叫べばいいってもんじゃないだろうに。ドラマなんだから、主義主張を言葉で言うんじゃなくて、エピソードで描いてほしい。

しかも、このドラマで倉本 聰が一番描きたかったであろう部分を担っているのがビートたけしと長渕剛。一番演技力に難のある人をキャスティングしてどうするの。彼らの残念な演技力のせいでなおさら印象が悪くなった。

小栗旬が恋人の八千草薫に会いに行くくだりは二人の演技が素晴らしくてよかったんだけども、それと靖国神社の参拝の是非を65年間も議論を避けて放置してきたことへの批判など、いいところもあるけど、この作品は老人の「昔はよかったなあ。それに比べて今は」という愚痴と説教としか思えない。現代の日本にもいいところはあるだろうに、全否定。描く時間がなかったのかもしれんけど、それではあまりにお粗末だ。

というわけで、2時間半の長丁場、「見なけりゃよかったな」とダンナと言い合った。

このドラマの視聴率が14.7%。「15歳の志願兵」がその半分の7.2%。
だけど私は「15歳の志願兵」に軍配を上げる。
このドラマの視聴率を報じるニュースに、右寄りの人たちが絶賛コメントを入れていた。中にはドラマを見ていないのに「英霊」という言葉だけで思考停止して褒め称えているものや、面白くなかったというコメントに、「こういうものを扱ったドラマを面白いとか面白くないとかの基準で判断するのは間違っている」とか。

ドラマは娯楽だぞ。面白いか面白くないかだ。主義主張を訴えたければ、講演会でも開いて演説をぶちゃいい。
スポンサーサイト
[ 2010/08/23 ] 倉庫4 | TB(0) | CM(2)










上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。